ジュニアサッカーメモリーズ~憧れのMF10 -6ページ目

10番との出会い 第2話

「亮!起きなさい!!」


母、由希子の声が、亮の耳元で炸裂した。


「稔君、迎えに来てるわよ!!」


「・・・みのる?」


「そうよ!早く起きなさい!!!!」


「え?やっべ~!!オレ寝坊したの? 今何時!?」


「7時よ!」


「ええ?・・・ええええ?」


布団から飛び起きた亮は、しばらく動きが止まった。


 なんで7時に稔が来たんだろう。。。

 いつもよりも30分も早いじゃないか。。。


半分寝ている頭の中で、考えてみるものの、答えが見つからない。


着替えもせずにダイニングに行くと、窓ガラスから差し込む光を背にして、ちゃっかり椅子に座って稔が笑ってる。


「お~っす!亮!!」


朝から大きな声が、家中に響き渡る。

小さな体に似合わず、でかい声だ。


稔は同じ団地に住む亮の親友で、同じサッカーチーム「洋光イレブン」に所属している点取り屋だ。


「・・・稔、おはよう・・・。というか、早すぎだろ?」


「わりぃわりぃ・・・。結局朝まで眠れなくてよ・・・」


「寝てないのか?」


「ああ・・・。あんなサッカー見たら、寝れるわけないだろう!」


「ケンペスか!?」


「おおよ!!」


「すげ~よな。アルゼンチン」


「すげ~よ。オレは今日からケンペスだぜ!」


「バカ言ってんじゃね~よ、稔。オレがケンペスだぜ!」


二人の興奮した会話に、あきれ顔の母親が口をはさんできた。


「早く支度をして、学校に行きなさい!稔君は朝ごはん食べてきたの?」


「いえ。食べてません!」


「そんなことを偉そうに言わないの!しっかりと朝ごはん食べないから体が小ちゃいのよ!亮と一緒に食べてきなさい!!」


「は~~~い。いただきま~~~す!」


「亮は早く着替えてきなさい!」


「は~~い!」


由希子は、亮と稔を双子の兄弟のように育ててきた。

母親を早くに亡くし、父一人子一人という環境がそうさせてきたのも事実だが、それ以上に思うところがあった。

サッカーの試合での二人のコンビプレーは、素人目に見ても、他の子どもたちとは違うのがわかる。

お互いの考えをテレパシーで送り合っているような、阿吽の呼吸ともいえるプレーを見ているのが楽しいのだ。

そんな二人を見てるからこそ、由希子は余計に稔の世話を焼くようになっていた。


「ほら。二人とも、学校に遅刻するわよ!」


「やっべ~!稔、早くいこうぜ」


「おう!おばさん、ご馳走様でした!!」


「いってきま~~~す!」


「は~い。行ってらっしゃい!!気を付けていくのよ!」


「うん!」


元気よく家を飛び出した二人は、団地の階段を一気に駆け下りた。

いつもより太陽がまぶしく感じるのは、昨晩の試合の興奮のせいだろうか。


二人は、一刻も早く体を動かしたいのか、学校に向かって全力で走り始めた。


  第3話 に続く・・・



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