10番との出会い 第2話
「亮!起きなさい!!」
母、由希子の声が、亮の耳元で炸裂した。
「稔君、迎えに来てるわよ!!」
「・・・みのる?」
「そうよ!早く起きなさい!!!!」
「え?やっべ~!!オレ寝坊したの? 今何時!?」
「7時よ!」
「ええ?・・・ええええ?」
布団から飛び起きた亮は、しばらく動きが止まった。
なんで7時に稔が来たんだろう。。。
いつもよりも30分も早いじゃないか。。。
半分寝ている頭の中で、考えてみるものの、答えが見つからない。
着替えもせずにダイニングに行くと、窓ガラスから差し込む光を背にして、ちゃっかり椅子に座って稔が笑ってる。
「お~っす!亮!!」
朝から大きな声が、家中に響き渡る。
小さな体に似合わず、でかい声だ。
稔は同じ団地に住む亮の親友で、同じサッカーチーム「洋光イレブン」に所属している点取り屋だ。
「・・・稔、おはよう・・・。というか、早すぎだろ?」
「わりぃわりぃ・・・。結局朝まで眠れなくてよ・・・」
「寝てないのか?」
「ああ・・・。あんなサッカー見たら、寝れるわけないだろう!」
「ケンペスか!?」
「おおよ!!」
「すげ~よな。アルゼンチン」
「すげ~よ。オレは今日からケンペスだぜ!」
「バカ言ってんじゃね~よ、稔。オレがケンペスだぜ!」
二人の興奮した会話に、あきれ顔の母親が口をはさんできた。
「早く支度をして、学校に行きなさい!稔君は朝ごはん食べてきたの?」
「いえ。食べてません!」
「そんなことを偉そうに言わないの!しっかりと朝ごはん食べないから体が小ちゃいのよ!亮と一緒に食べてきなさい!!」
「は~~~い。いただきま~~~す!」
「亮は早く着替えてきなさい!」
「は~~い!」
由希子は、亮と稔を双子の兄弟のように育ててきた。
母親を早くに亡くし、父一人子一人という環境がそうさせてきたのも事実だが、それ以上に思うところがあった。
サッカーの試合での二人のコンビプレーは、素人目に見ても、他の子どもたちとは違うのがわかる。
お互いの考えをテレパシーで送り合っているような、阿吽の呼吸ともいえるプレーを見ているのが楽しいのだ。
そんな二人を見てるからこそ、由希子は余計に稔の世話を焼くようになっていた。
「ほら。二人とも、学校に遅刻するわよ!」
「やっべ~!稔、早くいこうぜ」
「おう!おばさん、ご馳走様でした!!」
「いってきま~~~す!」
「は~い。行ってらっしゃい!!気を付けていくのよ!」
「うん!」
元気よく家を飛び出した二人は、団地の階段を一気に駆け下りた。
いつもより太陽がまぶしく感じるのは、昨晩の試合の興奮のせいだろうか。
二人は、一刻も早く体を動かしたいのか、学校に向かって全力で走り始めた。
第3話 に続く・・・
