Trois Noëlトロワ・ノエル【贈り物:Un présent merveilleux】(19)
→Trois Noëlトロワ・ノエル【贈り物:Un présent merveilleux】第一話
→前回のお話
「偶然見かけた雑誌
それに杜くんの名前があった
ずっと奥底にしまってた名前だった
見なかったことにしよう
気付かなかったことにしようって
何度も思ったの
だけどね。。できなかった」
(早智子・・)
「気がついたら出版社に電話してた
涙が止まらなくなって。。電話に出てくれた人は困ってたけど・・
でも・・やっとあの時の答えが聞けるんじゃないかなって
そう思ったの」
「あの日・・
私あの場所に行ったのよ?
だけど杜くんに逢えなかった」
「え?」
杜夫は、さっと早智子に体を向けた
また冗談か?
また俺をからかってるのか?
「俺も行ったよ早智子・・なのにいなかった。。」
「え?」
今度は早智子が杜夫に向ける
「うそっ
私ちゃんと行ったのよ
あの手紙にも書いてあった。あの場所に
日にちも場所も」
言いながら早智子はカバンから便箋を取り出し
中の手紙を広げ杜夫に見せた
左くすり指の指輪がきらりと光る
手紙の内容は杜夫自身赤面しそうな内容だ
人差し指で辿ると日付と場所が記してあった
「これ・・ずっと閉まってたの
ほら・・ここ
ちゃんと○○駅って」
杜夫はその駅名を見て絶句した
「なんでだ
なんでそこに・・」
う。。腹が・・
「間違いだった?ってこと?
そっか・・書き間違えたってだけか
おかしいなって思ってたんだけどね
初めて知り合った駅と違うから
何か杜くんに考えがあるのかなって・・
あ~あぁ~
今みたいに携帯とかあったら、あんなことにならなかったかなぁ」
空を見上げる早智子
さっきの雲は流れて行き、また別の雲が流れてくる
てっきり早智子に嫌われてとばかり・・
場所の書き間違えとは。。なんてばかなんだ・・
「早智子・・
俺と・・」
もう一度やり直さないかと思ったが飲み込んだ
「俺も・・
ひとつだけ聞きたい事がある」
「うん」
「あの日から一週間後くらいに。。
電話しても繋がらなかった・・逢いに行く勇気もなかったのもあるが・・
早智子のアパートまで行ったんだよ
だけど早智子は・・」
「いなかったでしょ?」
「あぁ・・」
「私ね
この手紙貰ってから決めてたの」
早智子は便箋を撫でた
「あの時・・
すぐにでも杜くんと一緒に住みたかった。
だから大きな荷物は処分して鞄ひとつであのアパートを出たの
駅には・・
そこには・・いなかったんだけどね・・杜くん。。
私たちって、なんだったんだろうなって・・
少しね・・憎かったんだよ?」
う・・早智子。。
「だけど主人と出逢って、上の子と もよこも生まれて・・
今・・あの時のことも聞けてすっきりもしてる」
「電話でも良かったのかもしれないけど
直接聞きたくって・・
本当は少し揺れたんだけどね
だから・・もよこも連れてきたの」
早智子はごめんねともとれる表情をした
「そうだったのか・・」
この日にもう一度チャンスをと思っていた杜夫だったが
それは叶わぬ想いに終わった
「最後に写真撮らせてくれないか?」
「いいわよ
綺麗に撮ってよね」
杜夫は早智子の最後の笑顔を写真におさめた
「杜くん
もう写真・・撮らないの?」
杜夫は黙ったまま俯く
「ごめんね
変な事聞いちゃって・・
じゃあ。。これが最後になるけど
ありがとぅ
杜くん」
早智子は深々と頭を下げた
手には便箋を持ったまま
「早智子!
その手紙くれないか?」
少し思案する早智子
「うん。分かった
ありがとぅ・・杜くん。。」
俺のモノなんか持っておく必要なんてない
早智子には俺のことなんか忘れて幸せになって欲しい
これしか俺には出来ない
そのことを早智子は察していたんだろう
杜夫に手紙を渡し
もよこを呼ぶとその手を繋いだ
「あよい(青い)かよ(顔)のおぢちゃんバイバイ」と もよこは手を振った
その言葉が最後の別れなんだと杜夫の胸に響く
二人の姿が消えるまで杜夫はずっと見守っていた
→Trois Noëlトロワ・ノエル【贈り物:Un présent merveilleux】(20)
→Trois Noëlトロワ・ノエル【聖夜:La nuit sacrée】第一話
→Trois Noëlトロワ・ノエル【聖夜:La nuit sacrée】(最終話)
☆Trois Noëlトロワ・ノエル【聖夜:La nuit sacrée】あきままさまver
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→Trois Noëlトロワ・ノエル【聖夜:La nuit sacrée】(最終話)
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