ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!
未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!
にも初提出とさせていただきました!
メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~
長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。
亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。
これまでのお話
ACT196妄想-9-(side/R-5)
露出した肩の赤い印に目の前が暗転した。
いつ、だれが、どうして、何の為に?
さまざまな疑問が一瞬のうちに頭の中に渦巻く。
そしてこの子はまた『鍵』になる。
新たに見いだした扉の鍵ではなく、未だ後ろにあって整理しきれていない箱の。
すでに効力を失った腕時計の重たい鎖は緩く巻き付いているだけで枷の役割は果たせない。
箱の中で先ほどまで手を取って進めると思っていた闇が暴れだす。
どす黒く噴き出した嫉妬心はもはやコントロールがつかない。
首筋にもらった所有印の甘さに流されて、自分も刻み付けたいと言ったのにセツカはカインである俺の望みを拒否した。
セツカであればカインのその申し出は拒否する理由はないはず。
だけどセツカとして納得できるような理由で拒否したのはあの時の俺がカインではなかったことにきがついていたからだろうか?
(セツカとしてならカインのキスは受けるがカインでない俺からは拒否する、そういうことか?)
背けられた顔と固く閉じた瞳。
それでも止まらず頬を伝う涙はまるで俺を拒否しているかのようだ。
そう、今ここにいるのはカインじゃない。
簡単に揺さぶられて役が剥がれる俺自身。
(だから、期待するのは愚かなことなんだ)
自分の学習能力の無さが恨めしい。
そして心のどこかでは過信していたんだろう。
この子は誰の愛も受け取らない。
俺を受け入れなくても、諦める気はないし手放すことなんてできない。
だが、他の誰かを受け入れることなんて想像もしていなかった。
(なら、これは何だ?)
鎖骨の端に浮き上がった控えめな赤い花。
(俺には許さないのに、どうしてこんなものがここにある…!)
ドクドクと鼓動に合わせてこめかみに鈍い痛みが響く。闇がせりあがって体を支配しようとしているのがわかる。
いつとか、誰がとか、だんだんとそんなことはどうでもよくなり俺だけを拒否するこの子に内にある箱の蓋は開ききろうとしていた。
自分の内で、用を成さなくなった鎖の上に蓋が滑り落ちガチャリと鈍い金属音が響いた気がした。
『アンタに惚れる様なバカな真似だけはしない』
それは本当に言葉通りだったのか。
黒く渦巻く感情はこの印の持ち主ではなく、彼女自身に牙を向けようとしていた。
「・・・きゃ…」
右肩を掴んで強引にベッドに押し倒した。目を背けていたためか状況の変化についていけなかったのか小さく驚きの声が上がった。
ベッドの上に乗り上げて、さっきと同じように華奢な体を縫い付ける。
視界に映る花が忌々しくて右手で左肩も押さえつけて掌でそこを押えて隠した。
組み敷いて、押さえつければ縫いとめた手から小さく震えているのが伝わってくる。
(怯えてる…?)
目は閉じたまま、顔も逸らしたまま。
いきなり押し倒されれば同然であろう反応なのに、拒否されているようでまた苛立ちが募る。
部屋に入る前にカインを憑かせた。誰にも君にも負けたくないと。
それはこの空間が君との舞台であり、ルールだからだ。
(なのに君は・・・今ここにいるのは、セツカじゃない)
この舞台には戦う相手はいなかったのだ。
顔を見た瞬間に分かった。必死に逃げようとしていたが無謀な話だ。
今ここに居るのはカインの妹『セツカ』じゃなく俺の後輩『最上キョーコ』だ。
セツカが居ればカインが応える。
ほんの1時間半前はこの部屋のルールと法則で、セツカを演じる君に助けられた。
そして『セツカ』は『カイン』になら触れることを許す。
でもここにいるのはセツカじゃない『この子』とカインじゃない『俺』
(・・・君が・・・悪い)
ルールは破られた。
ならその破られたルールに拘束力などない。
「いっ・・・!」
襟を強引に引き下げて、先ほど拒否された場所に強引に口付けた。
加減せず、強く、きつく、噛みつくように吸い上げて皮膚の内側から血を誘う。強すぎたか、痛みを訴える声があがるが聞こえないふりをして。
一度肌を解放して、刻んだ跡を見た。赤く浮き上がった痣を確認してまた口付ける。
何度も、しつこく、俺の独占欲を刻み付けて。
幾度となく強く吸い上げた肌は痛々しいほどの血の色の赤で、毒々しく咲いた花に自分でつけた癖に小さな後悔が湧き上がって、少しでも痛みを軽くしたくてそっと舌を這わせた。動物が傷口を癒すために舐めるように。
「・・・ん」
頭上で押し殺した呼吸の合間に小さな声が漏れたのが聞こえた。
こぼれた声の色香に背中がざわめく。
もう一度軽くキスをして、胸元を解放する。
たった今咲かせた花を指先でなぞり、肩口のそれより赤々と主張するそれに自然と口角が上がった。
望んだ印を残せた満足感なのか、決意を簡単に翻した自分への自嘲なのかそれすらも良く分からなかった。
(・・・このまま、すべて奪ってしまおうか)
愛おしくて、欲してやまない存在。
自分をコントロールできないほど、俺は簡単に揺さぶられる。
なのに、きっとこの子は自分の言動がどれだけ俺を狂わせているかなんて気づきもしないんだ。
愛してほしいくせに、恋愛感情を否定してそんな自分に更に傷ついているのに、それすら気づかないふりをしている。
どんなに言葉にしても、はなから聞く気が無くて塞いだ耳には届かない。
なら力づくで、身体で示せば伝わるだろうか?
拒否されても、否定されてもすでに手放すことができないこの想いは君がこの手に堕ちるまで執拗に追いかける覚悟すら持っていて。
今迄恐れてできずにいた事さえ、易々と実行できそうなほど俺の中は歪んで荒れ狂っていた。
(壊してしまえば、俺を憎んで一生俺に心を囚われてくれるだろうか・・・?)
危険な考えさえ浮かび上がってくる。
この子を諦めはしないと思った気持ちは、闇と融合して別の方向に堕ち込もうとしていた。
「・・・っ、・・・・ふっ・・・・」
呼吸の合間に、声にならない音が交ざっているのを感じた。
目の前にある胸元が、呼吸で上下し震えているのが見える。
(泣かせた・・・か、当然だな)
きっとこの先は俺を拒絶する言葉が待っているだろう。
今、自分を拒否する言葉に冷静でいられる自信はない。
醜い感情が、言葉を紡ぐ前に奪ってしまえと耳元で悪魔の声で囁く。
(聞きたくない)
声を発する前に、唇ごと言葉を奪ってしまえばいい。
少し身体を浮かせて見上げると、彼女は顔を手で覆って嗚咽を漏らしていた。
手の隙間から、震える唇が声を発しようと動くの見えた。
(ダメだ!)
手を取って、唇を奪うつもりでいたが間に合わなかった。
震える唇から、音がこぼれる。
「・・・っく・・・・・ごめん・・・なっ・・・さ・・・っ・・」
切れ切れに、弱々しく発せられた言葉は拒否でも否定でもなく。
「・・・・うっ・・・ごめ・・・なさ・・・っ・・・つる・・・がさ・・・っ・・・」
謝罪の言葉だった。
続き→
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ちょっとお兄さん!!あなたやっぱりダメっ子ですか
なんだかなぁ~…。
そしてこの段階で10話超えることが確定
何コレ、本誌妄想なのに何気に長編っぽい。