真梨幸子 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

独りではなく社会の中で生きている限り、人をだます人、だまされる人は必ず存在するのだろう。

 

本書には、地面師、ロマンス詐欺、特殊商材詐欺、架空政府資金詐欺、内職商法、原野商法、お金配り詐欺、霊感商法など、現代社会にはびこるさまざまな詐欺が登場する。あまりにも面白く、一気に読み終えてしまった。

 

表題作「嘘つきは人間のはじまり」では、実際に大手住宅会社がだまされた地面師事件を想起させる内容が描かれている。地面師グループが土地所有者になりすまして土地を不正に売却するという手口だ。本物の所有者から取引中止を求める内容証明郵便が届いていたにもかかわらず、会社は取引を進めてしまう。契約時には所有者が自分の干支を間違えるなど、不審な点もあり、途中で立ち止まって確認できる機会は何度もあった。

 

しかし、だます側の手口は巧妙で、言葉巧みに相手を誘導していく。そのため物語には強いリアリティがあり、緻密に仕組まれた犯罪の恐ろしさが鮮やかに描き出されていた。

 

世の中に簡単に儲かるうまい話など存在しないのだと思う。

仮に本当に儲かる話があったとしても、わざわざ他人には教えず、自分だけで実行するはずだ。

 

だからこそ、人の欲につけ込む詐欺に巻き込まれないよう、一度立ち止まり、家族や第三者に相談することが大切なのだろう。

 

冷静になって考えれば、「何かおかしくないか」と気づける場合もある。

本書を読んで、物事を客観的に見る目を持ち続けたいと思った。

 

本書は単なるサスペンスではなく、人間の欲望や思い込みの危うさを描いた物語でもあった。

 

イヤミスの真梨幸子さんらしい後味の悪さと不気味なリアリティが残る一冊でした。

 

■目次

 噓つきは人間のはじまり 

 ロイヤルロマンス 

 表裏一体  

 キアッソスキーム  

 インクリボン  

 百万円の負動産  

 金蚕蠱  

 噓つきは人間の終わり 

 

■著者等紹介

真梨幸子さん

1964年、宮崎県生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞してデビュー