人は歳を重ねるほど、残された時間を意識するようになります。
八十代になれば、多くの人が体力や認知機能の衰え、そして死と向き合わざるを得ません。だからこそ七十代は、まだ心も体も動かすことができ、自分の意思で生き方を選べる貴重な時間なのだと思います。
失ったものを数えるのではなく、今ある力をどう使うか。
会いたい人には会いに行き、やりたいことは先延ばしにせずに始める。
そうした日々の積み重ねが、人生の終盤を豊かなものにしていくのでしょう。
七十代とは、神様が与えてくれた「人生の総仕上げの時間」なのかもしれません。
■心に残った真理子さんの言葉
林真理子さんの言葉には、「人生を愉しみ尽くそう」という強い意思が感じられます。
私自身も、後悔のないように好奇心を大切にしながら、面白そうだと思ったことには積極的に挑戦し、愉しく生きていきたいと思いました。
96ページ
「人生を愉しまずに逝ってはいけない。」
「もし明日死ぬと言われても、そう後悔はない。本当にめいっぱい生きてきた。我ながらよくやったと思う。」
「愉しんで、苦しんで、くるくる回るように最後の時まで生きていきたい。それが私の願いである。」
人生の最後に「よくやった」と自分で言える生き方は理想だなと思います。
◎ねたみやそねみに沈まない
悪口や批判でストレスを発散するような生き方はしたくありません。
林さんは「奈落の底に落ちる」という印象的な表現を使っていますが、人への悪意にとらわれると、自分自身の心まで暗くなってしまうのでしょう。
100ページ
「ねたみ・そねみの底に沈んではいけない。」
「コメント欄に自分のメールアドレスを打ち込みたくない。人への悪意という奈落の底に落ちていく気がするからだ。」
年齢を重ねるほど、人をうらやむのではなく、自分の人生を大切に生きることが大事なのだと感じました。
◎無理な付き合いをしない
私自身も、無理をして人付き合いをすることは少なくなりました。
本や読書、図書館活動など、自分の好きなことを大切にしながら暮らしていきたいと思っています。
103ページ
「無理して付き合う人とは付き合わない。」
「よく若い人に言う。人生でとても大切なことは、魅力ある個性を作ること。たくさんの仲間を得て、刺激し合いながら生きていくこと。そして、無理してそう好きでもない人と付き合うことはないということ。」
年齢を重ねると、人との関わりは量より質なのだと感じます。
自分らしさを大切にしながら、気の合う人との縁を育てていきたいものです。
■読後感
本書を読んであらためて感じたのは、「人生には思ったほど時間がない」ということです。
だからこそ、健康を大切にしながら、会いたい人に会い、行きたい場所へ行き、やりたいことを実行していく。
私にとっては、読書や図書館の仕事、ブログを書くこと、そして家族との時間や夫婦での旅行がその一つです。
七十代は老後ではなく、人生を完成させるための貴重な時間。
そんな前向きな気持ちにさせてくれる一冊でした。
■目次
はじめに
第一章 まずは健康第一(健康のためだけに歩いてはいけない、ハンドクリームを手放してはいけない ほか)
第二章 「イタい」アイテムに気をつける(ファストファッションをよそゆきに着てはいけない、ノースリーブを着てはいけない ほか)
第三章 人付き合いは楽しく、無理せず(ひとりだけでやらない、友人は十歳下を選ぶ。同じ年代とばかりつるまない ほか)
第四章 貯金を切り崩すにはまだ早い(仕事を簡単にやめてはいけない、経営者が書いた本を鵜呑みにしてはいけない ほか)
第五章 私たちには時間がない(葬儀をパスしてはいけない、自分の葬儀について楽しく考える ほか)
■著者等紹介
林 真理子さん
1954年、山梨県生まれ。82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーになる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞、95年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、98年『みんなの秘密』で吉川英治文学賞、2013年『アスクレピオスの愛人』で島清恋愛文学賞を受賞。20年、菊池寛賞、22年、野間出版文化賞を受賞。18年、紫綬褒章を受章。22年、日本大学の理事長となる
【No2124】80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間 林 真理子 幻冬舎(2026/05)
