本書は、分野横断的に「休養」の論点を網羅し、正しく休むための考え方と具体的なリカバリー手法を身につけられる一冊です。
疲労は睡眠だけでは半分しか回復せず、食事・入浴・呼吸・運動・マインドセットなど複数の要素を組み合わせてこそ本来の回復力が発揮されます。
慢性的なだるさ、集中力の低下、イライラ、判断ミスなどは、適切な休養によって改善できるはずのもの。
休養を「戦略的な身体への投資」と捉えることで、仕事のパフォーマンス向上や生活の質の向上につながると感じました。
◆疲労を“隠す”マスキングに注意(30P)
脳の働きや、甘いもの(血糖値の乱高下→コルチゾール分泌)、コーヒー・栄養ドリンク(カフェイン)によって、疲労感は一時的に見えなくなります。
しかし疲労そのものは消えていません。
この「マスキング」が続くと、実際の疲労と自覚している疲労感が乖離し、回復しづらくなるだけでなく、病気のリスクも高まるとの指摘が印象的でした。
◆7つの休養モデル(93P)
活力を高め、よりよい回復を実現するために、以下の7つの休養モデルを主体的に組み合わせることが重要とされています。
1.生理的休養
・休息タイプ:睡眠、仮眠、休憩、ゴロゴロする
・運動タイプ:軽い運動で血流を促し老廃物を除去。散歩、ヨガ、ストレッチ
・栄養タイプ:腹八分目、胃腸に優しい食事、断食・ファスティング、白湯で身体を温める
2.心理的休養
・親交タイプ:ペットとの触れ合い、家族とのハグ、雑談、森林浴
・娯楽タイプ:映画・音楽鑑賞、推し活、習い事、キャンプなど
・造形・想像タイプ:創作活動、DIY、詩・俳句、空想旅行、瞑想など
3.社会的休養
・転換タイプ:環境を変えて気分転換。整理整頓、服を変える、外食、日帰り温泉、旅行など
◆パワーナップの効果(126P)
15分ほどの短い昼寝で睡眠を補う。寝すぎないことがポイント。
判断力・理解力・集中力の向上、やる気の回復、自由な発想の促進、作業効率の向上など、多くのメリットがある。
◆音楽の持つ休養作用(186P)
音楽には、生理的・心理的・社会的な休養作用がある。
・生理的作用:自律神経の調整、セロトニン・ドーパミン分泌
・社会的作用:演奏を通じた絆形成、感情の伝達、文化の継承
・心理的作用:イライラの発散、心の浄化、自分の即興表現からの気づき、体調や気分の把握、過去の記憶の想起
休養は特別なことではなく、日常の小さな習慣の積み重ねです。
自分に合った休み方を見つけることが大切。
まずは一つだけ、できることから始めてみたらと思います。
◆目次
1 疲労の正体
2 疲労のメカニズム
3 休養の秘訣は「活力」にあり
4 マルチな力を持つ睡眠
5 自律神経を知って、攻めの休養へ
6 攻めの休養実践アイデア
7 「抑疲労」でさらによき休養を
索引
◆著者紹介
片野秀樹さん
博士(医学)、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。
東海大学健康科学部・医学部研究員、日本体育大学研究員、理化学研究所客員研究員などを経て、現在は博慈会老人病研究所客員研究員、日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、日本疲労学会評議員を務める。
【No2089】今さら聞けない休養の超基本 疲労ゼロを習慣化する ウェルネス教養 片野秀樹 朝日新聞出版(2026/03)
