三浦しをん | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

「万物斉同」――世界のあらゆるものは相対的に違って見えるだけで、絶対的な本質の差はない。

夢が現実となり、現実が夢となる。

読み終えたあと、ぼくはしばらくこの感覚の中にとどまっていた。

そのため、物語の意味を十分に読み込めたとは言えず、捉えどころのない奇妙な読書体験だった。

 

本書は「カリスマ」をテーマにした五つの物語から成る。

どの作品も、現実と非現実の境界が曖昧になり、読者の足場をふっと揺らすような構造になっている。

 

■物語

 

神馬に乗る女 

 美しい義母に“神が乗り移る”瞬間が訪れる。周囲の人々はその姿に畏怖と魅了を抱き、彼女はいつしか「神馬に乗る女」と呼ばれる存在となる。

 

胡蝶 

 予知夢を見る力を持つ一族の物語。夢で見た出来事が現実を左右し、登場人物たちは「夢が導く未来」に翻弄されていく。

 

夢見る家族 

 夫婦が夢の中で子どもを産み育てる。しかしその子どもは現実の世界にも存在し、親を異端視しながら成長していく。夢と現実の境界が最も揺らぐ一編。

 

金の糸 

 人と人をつなぐ“見えない糸”のような力を持つ人物が登場する。糸は祝福にも呪いにもなり得て、関係性の本質が問われる。

 

夢の子ども 

 夢の世界で生まれた存在が、現実の世界に影響を及ぼす。恩寵とは何か、与えられる側と与える側の関係とは何かを静かに問いかける。

 

■「胡蝶の夢」について

夢と現実の区別がつかなくなる状態を表す中国の故事成語。

荘子が「自分が蝶になって飛び回る夢」を見た。

目覚めたとき、彼は人間の荘子に戻っていたが、

「自分は蝶になる夢を見ていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか」

と考えたという有名な話。

 

■恩寵とは

「神や君主などの偉大な存在から受ける、恵みや慈しみのこと」。

本書では、この“恩寵”が人間の生活に入り込み、祝福とも呪いともつかない形で作用する。

 

■著者等紹介

三浦しをんさん 

1976年東京都生まれ。2000年に『格闘する者に○』でデビュー。

06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、12年『舟を編む』で本屋大賞受賞。

『あの家に暮らす四人の女』(織田作之助賞)、

『ののはな通信』(島清恋愛文学賞・河合隼雄物語賞)、

『愛なき世界』(日本植物学会賞特別賞)など著書多数。