知の巨人である著者が、定年前後の生活設計について、お金・勉強・仕事・交友関係・家族・趣味・健康の観点から要点をまとめた一冊。自身の経験と蓄積された知識が随所に生かされている。
これまで読んできた定年後やセカンドライフに関する本は、著者それぞれの生き方や考えが綴られていた。自分に合うもの、そうでもないものがあったが、40代のころから「先を歩く人のどれを参考にするか」を考えながら読み続けてきた。
趣味・スポーツ・芸事を続ける行動、規則正しい生活、健康的に生きて社会に貢献する姿勢など、自分の感覚に合うものを実践してきた結果、概ねよい流れで今の自分につながっている。
健康最優先という点は、著者と全く同感である。そして定年後は、利害関係ではなく、家族をはじめとした「心からつき合える関係」を深めていきたい。
■人間関係と生き方
26P 残された人生をストレスなく生きる方法
嫌いな人にまで交友範囲を広げる必要はない。残された時間を、良心に従いストレスなく生きることに集中すべき。
経験値や人生観を踏まえ、自分の行動範囲・趣味・人間関係を適度に限定し、残りの人生を有意義にするという指摘は納得できる。
42P 人生の折り返し地点を越えた時の人間関係
仕事に使っていたエネルギーを、家族や友人、趣味や勉強へ移行させてゆく。
まずは健康が大事であり、何かを行うには体が資本である。人とのつながりも大切だが、特に家族はこれからの生活の大きな支えになる。
■健康と家族
56P 最強の投資先は健康と家族
健康に生きる自分を保つことが最優先。家族との楽しい体験や思い出づくりへの投資は、定年後の豊かさを増す。
健康と家族を「投資先」と捉える視点は、これからの生き方を考えるうえで非常に示唆的だ。
■読書の価値
74P 読書習慣のあるなし
読書は最も安価で確実な情報源。他人の成功だけでなく失敗からも学べる。
読書のメリットについては、まさにその通りだと思う。多くの人生を疑似体験できることが、読書の大きな果実だ。
■定年後の仕事
102P 定年後の仕事は趣味や嗜好で選べる
興味のある仕事、趣味の周辺の仕事など、定年後の仕事はバラエティに富む。時給ではなく、勤務地の近さや短時間労働を優先すべき。
定年後に「仕事を選べる自由」があるのは大きな利点だ。ストレスの低い働き方を選ぶという鉄則も心に留めたい。
■孤独と直観力
122P 賢者の時間―孤独の時間が大切
意図的に孤独な時間を作り、自分の内面を見つめる。ひらめきは孤独の時間に生まれる。
直観力を磨くためにも、意識的に一人の時間を確保し、心を整えることの大切さを改めて感じた。
目次
まえがき 「自分が本当に幸せだ」と感じる条件が揃う日本
第一章 定年後のマインド「リセット」
第二章 定年後のおカネ
第三章 定年後の勉強
第四章 定年後の仕事
第五章 定年後の交友関係
第六章 定年後の隠れ家
第七章 定年後の家族関係
第八章 定年後の恋愛・趣味・健康
あとがき 他人と比較してものを考えるのは致命的な習慣
著者等紹介
佐藤優さん
1960年、東京都に生まれる。作家、元外務省主任分析官。1985年、同志社大学大学院神学研究科を修了。外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴される。2009年、最高裁判所で執行猶与付き有罪が確定し、外務省を失職。2013年に執行猶予期間が満了し、刑の言い渡しが効力を失った。
(再読)
