不老長寿の可能性について書かれた本で、とても刺激を受けた。
不老不死への願いは、秦の始皇帝の時代から続く人類の夢である。
もちろん完全な不老不死はまだ遠い未来の話かもしれない。しかし、老化の進行を遅らせ、実年齢より若い身体機能を保ち、健康寿命を延ばすという点では、すでに現実味を帯びてきていると感じた。
本書では、百寿者(100歳以上の人)に共通する特徴として、
・喫煙しない
・酒は飲まないか、嗜む程度
・性格は外交的でおおらか
といった点が挙げられていた。さらに、ビタミンDがアンチエイジングホルモンとして働く可能性、睡眠不足が老化を加速させること、寿命を延ばす酵素「サーチュイン」、ハダカデバネズミが老化細胞を除去する仕組みなど、科学的な知見も紹介されている。
もはやSFの世界だけの話ではない。
老化が何らかのメカニズムで進むのであれば、それを遅らせたり、部分的に逆転させたりすることも理論的には可能だ。専門家の間では、生物学的な若さの維持だけでなく、若返りさえ実現し得るという見方も出てきている。
「老いなくなる」という発想は、私たちの未来や社会のあり方、人生観そのものを大きく変える可能性を秘めている。こうした研究が進んでいること自体、人間の探求心のすごさを感じさせる。
そして結局のところ、
たばこを吸わない、酒を控える、食べ過ぎない、紫外線を浴びすぎない、適度な運動、十分な睡眠――こうした「当たり前のこと」が、やはり老化を遅らせる基本になるのだと思う。
本書を読み、自分のできる範囲でこれらを丁寧に続けていきたいとあらためて感じた。
目次
はじめに
・不老長寿はすでに夢物語ではない
・老化を知れば、生命科学の知識も身につく
炎症とは何か
・老化の敵は「慢性炎症」
・炎症は免疫の掃除が追いつかない状態
・慢性炎症によって起こる病気
・長生きの人は炎症が少ない
01 老化をとめるオートファジー
02 体全体の老化と細胞の老化は別
03 免疫は「自分」と「他人」を厳密に区別する
04 皮膚は環境老化の影響が大きい臓器
05 ハダカデバネズミは人間にたとえると数百歳生きる
06 老化を遅らせる可能性のあるNMN
07 100歳以上生きる人の違いを調べる研究機関
08 病気のゲームチェンジャーとなる「構造生物学」
09 老化研究に最適なのは「魚」?
10 睡眠不足は老化を加速させる
著者紹介
吉森 保さん
1996年、オートファジー研究のパイオニアである大隅良典博士(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げた際、助教授として参加。大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科教授などを経て、大阪大学名誉教授、同医学系研究科寄附講座教授。
