東大や京大で最も読まれた本として知られる一冊。先日、知人から紹介されてようやく手に取った。
本書では、習得した知識に従うだけ、学校で教わることを素直に受け取るだけでは「グライダー人間」になってしまうと説く。自ら考え、行動し、自分の力で飛び立つ「飛行機人間」にはなれないという指摘が印象に残った。
また、記憶力偏重の社会にあって、「忘れる」ことの大切さを改めて教えてくれる。
40ページ「寝させる」より
努力すれば何でも成就するという考えは思い上がりであり、努力してもできないことはある。そうしたときは、時間に委ねるしかない。
幸運は“寝て待つ”のが賢明であり、一夜漬けのように突然できあがることもあれば、何十年という沈潜の末に形を整えることもある。
いずれにしても、無意識の時間を使って考えを育てることに、もっと関心を向けるべきだという言葉が深く響いた。
目次
1 グライダー/不幸な逆説/朝飯前
2 醗酵/寝させる/カクテル/エディターシップ/触媒/アナロジー/セレンディピティ
3 情報の“メタ”化/スクラップ/カード・ノート/つんどく法/手帖とノート/メタ・ノート
4 整理/忘却のさまざま/時の試練/すてる/とにかく書いてみる/テーマと題名/ホメテヤラネバ
5 しゃべる/談笑の間/垣根を越えて/三上・三中/知恵/ことわざの世界
6 第一次的現実/既知・未知/拡散と収斂/コンピューター
あとがき
文庫本のあとがきにかえて「思われる」と「考える」
東大特別講義 新しい頭の考え方「思考の整理学」を読んだみなさんへ伝えたいこと
著者紹介
外山滋比古(1923–2020)
愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業後、「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。
英文学、日本語、教育、意味論など幅広い分野で評論・エッセイを多数執筆。『思考の整理学』は四十年以上にわたり学生やビジネスパーソンから支持され続けている。
