平野啓一郎 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

神経衰弱の気鬱から逃れるように、井原真拆は森の深奥を彷徨う。

蛇毒に倒れたところを僧に救われ、山寺に逗留することになる。

俗世から切り離された奇妙な時空の中で、真拆はいつしか現実と夢幻の境を踏み越え、一人の女と出逢う。

 

泉鏡花『高野聖』を思わせる、耽美で妖気を帯びた文体。

現実と幻想の境界がさっと揺らぎ、溶けていくような感覚があった。

読む側の感覚までもふっと揺さぶられる、独特の気配が作品全体に漂っている。

山の湿った空気、闇の奥から忍び寄る妖しさ、人の心の底に潜む魔物。

そのすべてが想像の余白に委ねられ、より深い余韻を残してくれた。

拒む愛と求める愛。

筋は異なっていても、どちらも同じような不思議な魅力へと読者を誘い込んだ。