涙腺がゆるくなってきた。青山美智子さんらしい軽やかな筆致で、物語は心地よいテンポのまま進んでいく。
ピースがぴたりとはまったり、うまく合わなかったり、喜びや後悔を行き来しながら物語がつながっていく。
甘くて、ほろ苦くて、儚くて、そして心温まる恋も描かれる。
家族や友人、恋人同士のような二つの視点が交互に現れ、前半と後半の12話が対になっている構成に気づいてからは、面白さが一段と増し、思わずすぐに読み返してしまった。
登場人物同士のつながりを確かめながら読む時間が楽しかった。
青春時代の自分を思い返して「これはあるなあ」と感じたり、30代のころの気持ちがよみがえったり、今の自分にも響く部分があったりと、共感しながら読み進めることができた。
これもまた、青山さんの良作のひとつだと思う。
83ページより
「どうしようもなく出会って、どうしようもなく好きになって、どうしようもなく別れてしまった。」
<目次>
BOX1
BOX2
あとがきに代えて エッセイ「ふたつのチョコレート」
著者紹介
青山美智子さん。1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。帰国後は出版社で雑誌編集者を経て執筆活動へ。
デビュー作『木曜日にはココアを』で第1回宮崎本大賞を受賞。『猫のお告げは樹の下で』で第13回天竜文学賞を受賞。
『お探し物は図書室まで』は米TIME誌「2023年の必読書100冊」に唯一の日本人作家として選出されるなど、著書多数。
