どちらかと言えば男性へのアドバイスが多かったが女性側への視点もあり。
小説家の金原ひとみや島本理生、綿矢りさなどの小説のなかで描かれる人物や友人らの実体験など具体的な例を取り上げ紹介しながら、恋愛や不倫との関係を多角的にまじめに論じていた画期的な内容だったと思う。
230P「(相手から何か)奪う不倫は長続きしない」
236P「家庭がいる男との恋愛の一番辛いところは、絶対にこちらが終わりを決めなきゃいけないことだよ」
254P 恋愛だって最初からしなければ傷つくこともないし、誰かを無駄に傷つけることも、辛いのに言わなければいけないことを吐くことも、誰かに嫉妬して狂うほど悔しい気持ちになることもない。それででも人はどうしたって誰かに他の誰かとは違う感情を抱き、その人と特別な関係を紡ぎたいと夢想し、他の誰かとは違う扱いを強く望み、その人以外と似たような関係を持つのは不可能と感じ、それが手に入らなければあらゆる成功や富が無意味に思えるほど満たされない。
<目次>
序章 たかが愛人の戯言、それとも…
第1章 不倫、愛人、純愛
第2章 絶望の不倫報道
第3章 婚外恋愛の現在地
第4章 女性作家の描く結婚の限界
第5章 愛人の本懐
終章 この結婚社会の片隅で
参考文献一覧
歌詞引用楽曲一覧
鈴木涼美さん
1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。日本経済新聞社に入社、記者職を経たのち執筆家・作家として活動
