京都の道を辿ること、それは歴史をひもとくのに似ている。
195P 本書は、私が京都に暮らす中で、感じ、経験した京都の街の魅力を、ありのままに書き綴ったものである。私なりの解釈が入っている部分もあるので、同じようには感じられない方もあるかもしれない。でも、それも京都の街歩きの楽しさの一つ。本書をかばんの中にぽいっと入れて、京都の街を散歩してくださる方が増えるといいなぁと思う。
62P 新 今出川通
ヨーロッパで長い間生活をして感じたことのひとつに、日本人ほど他国の文化に寛容な国民はいないのではないかということである。
(中略)
ラーメンやカレーだって、もともとは外国から来たものだけれど、今では立派な日本食。他者と共存し、認め合いながら生きていくという、先人たちから自然と受け継がれてきた日本人のDNAはすごいと改めて思う。
伝統と革新は表裏一体。京都という街は、保守的なように見えて、常に新しいものに向き合い、それを取り入れることに貪欲に挑戦してきた。守るだけでは残らない。それが、京都に今も伝統が生き続ける理由であり、またパン屋さんが多い理由でもあるのだろう。
京都のパン屋通りを歩いていると、京都の歴史がまた違って見えてくる。
京都は、千本通、北大路通、寺町通、四条通、河原町通など、たしかに「道」からものがたりが成り立っている。
京都は修学旅行で訪れた街であり多感な学生時代に過ごした第二の故郷。嵐山、太秦映画村、北野天満宮、御所、二条城、清水寺、八坂神社等々有名な観光地は足を踏み入れたこともあり、東西南北の地理感がある。
彬子女王殿下が暮らしを通じて見聞きされたこと、感じたことを京都の通りや名所に絡めて綴られたエッセイ集。住んでいたときには感じられなかった、よく知らなかった多くの道とそれにかかわる歴史・文化が彼女の素直な感性を伝えていた。親しい友人に語りかけるようなやわらかくあたたかく文のなかには洗練された知的な魅力が満ち溢れていた。彼女にとても好感がもてた。全般的に懐かしくてこころに染み入った。
ぼくは散歩好き。歩きながら景色を楽しみ四季を肌で感じるのだ。
また数十年ぶりに京都に訪れたくなった。
彬子女王殿下の本を片手に京都の道を感じ取りたい。
<目次>
はじめに
京都市街中心部の地図
京都市郊外の地図(愛宕、高雄、清滝、嵐山・嵯峨野)
始 起点の道(きてんのみち)
常 寺町通(てらまちどおり)
薫 哲学の道(てつがくのみち)
混 六角通(ろっかくどおり)
夏 新町通(しんまちどおり)
盆 お地蔵さまの道(おじぞうさまのみち)
護 下立売通(しもだちうりどおり)
新 今出川通(いまでがわどおり)
紅 周山街道(しゅうざんかいどう)
灯 四条通(しじょうどおり)
飛 河原町通(かわらまちどおり)
雪 丸太町通(まるたまちどおり)
別 高辻通(たかつじどおり)
洛 北大路通(きたおおじどおり)
在 御池通(おいけどおり)
薬 二条通(にじょうどおり)
山 愛宕神社の参道(あたごじんじゃのさんどう)
迎 松原通(まつばらどおり)
仏 正面通(しょうめんどおり)
橋 三条通(さんじょうどおり)
彩 堀川通(ほりかわどおり)
市 錦小路通(にしきこうじどおり)
街 千本通(せんぼんどおり)
鬼 白川通(しらかわどおり)
警 下鴨本通(しもがもほんどおり)
蛸 蛸薬師通(たこやくしどおり)
英 マートン・ストリート
おわりに
新装版おわりに
彬子女王殿下
1981年、寛仁親王殿下の第一女子として生まれる。学習院大学を卒業後、オックスフォード大学で在外の日本美術コレクションの調査・研究にあたり、女性皇族として初めて博士号を取得した。京都産業大学日本文化研究所特別教授、國學院大學特別招聘教授などを兼任。2012年、子どもたちに日本文化を伝える団体「心游舎」を創設し、全国で活動している。
