これまで不思議に思っていたことのうち解決策のひとつが見つかった。
デジタルが発達してもアナログは大事だ。
リアルに直接会ってはなしをすることにとても大きな意義がある。少人も同様に心掛けたい。
先進国の首脳たちが集まる、G7、G20という先進国首脳会議。インターネット社会が進展して、こんなにリモートができるのに関わらず、ZOOMなどのテレビ電話のような機能を使えばお互いにしゃべれる。なぜそれぞれの国のトップの人たちが集まって話し合う場を設けるのか?
また、ウクライナの紛争の最中、ゼレンスキー大統領が極東アジアの日本までわざわざ危険を冒してまで足を運んで支援の事情を説明するのか?
エレベーターや玄関、休憩時間などで一言話すとき、ちょっとした無駄話のようなおしゃべりのなかに余韻のような大切な対話があるのではないか。
対話の力。わざわざ直接顔を合わせる意味があると気づいたのだ。
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クリックひとつで終わってしまうリモートには、決定的に欠けている何かがある。会って話しているのとかわらないようでありながらもクリエイティビティ(創造力、独創力)が感じられないのだ。
体温でもない、匂いでもない、しかし、リモートには「気配」と言われるものがないことに気がついた。相手に「気配」を感じられないことで、対話が生むはずの何か積極的な力が生じていないだろうとおもうのだ。
<目次>
まえがき
第1章 失われた気配
第2章 これからの日本語
第3章 リモート時代の日本語力
第4章 不思議な巷の日本語(回らない寿司屋、二刀流、あいうえお、みだりに、○活、2回目、経験値、落としどころ、投入金が不足しています、歯磨き粉、高級食パン、激おこぷんぷん丸、っす、ダム汁、痛っ、ダメ出し、日本語の壁、うれしみ、大器晩成、ブースター、潤い、すみやかに、“そだねー”、井の中の蛙、まじまんじ、て、乾物屋、パリピ、忙しい、気もい形容詞、高輪ゲートウェイ駅、負けず嫌い、アポ電強盗、万葉集、;気分、無理、真逆、打ち言葉、肉肉しい、身の丈、にわかファン、ワンティームの光と影、聖地、Jリーグ様、不要不急、ネコハラ、スピード感、面目ない、街の声、盛りは後になってわかる、会食、自己判断、言霊、小言、昭和、心が折れる、そうめん、出口戦略、理解を願う、フィルターバブル、ハマる、正解、バールのようなもの、成人、やはり、ゲリラ豪雨、おしゃか、卒業)
1953年東京都生まれ。祖父の金田一京助(言語学者)、父の金田一春彦(国語学者)に続き、自身も日本語研究を専門とする言語学者。東京外国語大学大学院を修了。その後、中国大連外語学院、コロンビア大学などで日本語を教える。1994年、ハーバード大学客員研究員を経て、杏林大学外国語学部教授。2018年度より山梨県立図書館館長。現在、杏林大学名誉教授。現代用語の基礎知識選「ユーキャン新語・流行語大賞」選考委員
【No1616】あなたの日本語だいじょうぶ?SNS時代の言葉力 金田一秀穂 暮らしの手帖社(2023/07)