傷は浅いうちに自身で直すべきだ。
神奈川県警の巡査部長の水沼加穂留は、民事裁判の対応を行う訟務課へ異動して弁護士資格を持つ新崎大也とともに。強盗犯グループへの違法捜査を問われた裁判を担当することになった。
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横浜地裁508号法廷での判決公判。加穂留は緊張して、言い渡しを待った。
「主文。一、原告の訴えを認め、被告は賠償金2百万円を支払うものとする。二、訴訟費用は被告の負担とする」
強引な取り調べ・違法捜査が録音によって証明されて、神奈川県警は敗訴してしまった。
これまでのゆっくりした裁判への動きから、その後、転がるようにして加速度的に前に話が進んでいった。
検挙率上げを図るための県警内での黒い噂が現れ出て来た。
加穂留はそれを明らかにするために、関係者の間を東奔西走する。
彼女は身の危険を感じ危ない目に遭遇するのだ。
もう面白くて読む手が止まらなくなってしまい、もうもう一気読みだった。
<目次>
第一部 敗訴
第二部 R
1963年茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞
ほかの著書に「天国の罠」「黒い紙」など。