【No1514】ルポ無縁遺骨 誰があなたを引き取るか 森下香枝 朝日新聞出版(2023/11) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書は、例えば著者、主人公、偉人、歴史、自分等との、非日常の中での対話だ。

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孤立化で誰にも無縁遺骨になる可能性があるのだ。

死は、必ず誰にでも訪れる。そして遺体となり火葬されていつか骨や灰になる。

それを誰が拾い弔ってくれるのか!この切ない現実からは逃れることができない。

孤独死での遺体取り扱いや葬儀費用等の生々しい諸問題が陰に隠されていることを知った。

234P いろんな宗教が死後の世界について説いているが、エビデンス(証拠)などはなく、あの世のことは誰にもわからない。

人は死んだら終わり―。と言いたいところだが、実際は身寄りがいなければ、死亡届も出せず、火葬もできない。遺骨になっても弔う人がいなければ、無縁遺骨となり、役所のキャビネットや無縁の納骨堂などをさまようことになる。

お墓をどうする?火葬場で遺骨を処分してもらう、自然葬でその存在を消す―。老後だけでなく、死後のことも考えておかなければならない現実がある。

 

「独身者や子どもがいない夫婦だけでなく、家族がいても親戚つきあいがなければ、最後に死んだ人は無縁になる」と書かれてあった。

 

また、お寺の消滅の問題も合わせてあることが浮かびあがってきた。

214P

戦後、政府の政教分離という方針で公共の場での活動を制限された仏教界は、檀家制度を唯一の経済的基礎として、再出発を強いられました。戦後は核家族化がすすみ、地縁や血縁が薄れて家制度が崩れていったので、葬儀をしたり、お墓を建てたり、継承する必然性がだんだんとなくなっていきました。近年は僧侶を呼ばない直葬や墓じまいも加速し、経済的に成り立たなくなり、過疎地や地方の寺院から消滅が始まり、留まる気配が見えません。お寺の住職さんたちから今後、寺院経営をどうしたらいいかという相談をよく受けます。

 

ハリウッド映画や大河ドラマ、映画などに多く出演されてきた国際的な女優の島田陽子さん。彼女が2022年の7月に亡くなったことをネットで知ったときにはとてもショックを受けた。ぼくは、彼女が出ている作品をよく見ていたファンの一人であったからだ。

島田さんは享年69。まだまだ早い死であった。

彼女は病と闘いながら映画の撮影に臨んでいたが、亡くなる直前は経済的にとても困窮していたという。また、病院でひとり亡くなった後には、誰も遺体の引き取り手がなくて、自治体で荼毘に付されたというのだ。重ねて酷くこの事実から衝撃を受けたのだった。

 

自分が将来、無縁にならないようにしていきたいと思うが、そのためにどうすればよいか考える必要がある。

自助で対応できない事例があるのならば、地域や公共で対処するしかないのではないか。共助や公助で対応しなければいけない現状となってきているのではないかと思うのだが。

他人事として目を背けて生きていくことができない重要な課題であろう。

 

いつかこのような心境になることができればよき幸せな生き方をしたものだと思えるのではないかなと。

「この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも 我はなりなむ」(大伴旅人)

 

 

 <目次>

はじめに 私も無縁遺骨かも

第1章 葬る人が見つからない社会

第2章 最期の不条理

第3章 異状死の不平等

第4章 増える無縁遺骨

第5章 ひとりでも無縁にならない

第6章 政権の政治課題となった身寄りなし問題

第7章 増える無縁墓

第8章 将軍家・大名家の墓じまい

第9章 変わりゆく死生観

あとがき

 

1970年生まれ。「週刊文春」記者を経て、2004年、朝日新聞入社。東京社会部員、AERA dot.創刊編集長、週刊朝日編集長を歴任。現在、朝日新聞東京本社ネットワーク報道本部記者