ダイヤモンドの原石たちへ 湊かなえ作家15周年記念本 湊かなえ 集英社(2023/12) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書は、例えば著者、主人公、偉人、歴史、自分等との、非日常の中での対話だ。

ご縁のあった著者を応援したい!
読書の楽しさ、面白さ、大切さを伝えたい!

湊かなえさんの生い立ちからこれまでの足跡を振り返ってみたような内容だった。

 

複数の視点人物、手紙、日記、そしてモノローグの語り手からの告白形式は、湊かなえさんが得意とする読者がのめり込んでしまう手法だと思う。

行間から行く末をたっぷりと想像させながら、最後まで愉しく読ませてくれるのだ。

 

湊さんには、一度直接お会いしたことがある。いまはもう閉店してしまった近くの本屋でのサイン会のときだ。

チケットを手に入れたほぼ1か月前からもうこころはドキドキしていた。彼女が書いた本を読む事で小説を好きになり小説を読んでいくきっかけを作ってくれたから。

彼女と話できたのは望外の幸せだったし忘れられない強い思い出だ。また湊かなえサイン本という世界で一つしかない宝物が得られたのも大きな収穫だった。

 

私「湊さんが26冊出版されているなか、ぼくは15冊ブログで感想を書いています」

湊「これからもブログで(感想を)発信してください」

私「湊さんお小説を読んでから映像を見るのと、映像を見てから湊さんの小説を読むのはどちらがおすすめですか」

湊「小説を読んでキャストを想像してから読むのが面白いですね。でも、どちらからでもお好きな形でよいと思いますよ」

 

ほんの1メートルもない目の前の距離感でお話することができ感動してしまいしばらく放心状態、そのとき併せて新作を読んでほしいことを伝えられていた。

それは、一年間の休筆ののちに書かれた「人間標本」だった。

 

書かれている通り、支えてくれる言葉やヒントになる言葉を得て豊かな人生を送るためにこれからも読書をしていきたいと。

9P

読書は頭の中に種を植える行為だと考えることがあります。すべての種から芽が出て成長するわけでなく、また、早咲きのものや遅咲きのものもあります。多くの種が成長し、樹となって林や森ができたら、豊かな人生が送れるのではないかと思います。

人生に行き詰まった時、支えてくれる言葉やヒントになる言葉を持つ人は、強く生きていけるのではないか、と。

 

題名の「ダイヤモンドの原石たちへ」に関連した箇所を見つけたので引用してみた。

301P 書き下ろし小説「告白のために」

あるドラマの打ち上げの席で、あなたはこんな挨拶をした。

中学生のとき、理科の先生から、鉛筆の芯もダイヤモンドも同じ元素記号Cの炭素でできているので、鉛筆の芯を強くこすればダイヤモンドになるかもしれない、と言われました。単純な私は早速ためしましたが、手が痛くなっただけです。だけど、鉛筆の芯を強くこするというのは、文字を重ねることかもしれない。その結果、ダイヤモンドができあがり、それをさらに多くの人たちが磨いて、素晴らしい作品が完成する。そういうことだったのだと思います。

自分の作品をダイヤモンドにたとえる。

それほどにふてぶてしくおめでたい小説家に、あなたはなるんだよ。

 <目次>

まえがき

特別対談 池田理代子×湊かなえ「私、先生でできてます!」

全小説作品紹介

ロングインタビュー「未来の小説家たちへ」

10社合同企画 湊かなえデビュー10周年47都道府県サイン会ツアー「よんでミル?いってミル?」

高校生のための小説甲子園

小説「一夜十起」

淡路島取材 作家ドキュメント「湊かなえの現在」

書き下ろし小説「告白のために」

湊かなえ年譜

あとがき

 

1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は「週刊文春2008年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞。また14年には、アメリカ「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙のミステリーベスト10に、15年には全米図書館協会アレックス賞に選ばれた。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞受賞。18年『贖罪』がアメリカのエドガー賞“最優秀ペーパーバック・オリジナル部門”にノミネートされた。

 

【No1513】ダイヤモンドの原石たちへ 湊かなえ作家15周年記念本 湊かなえ 集英社(2023/12)