【No1510】50歳からの幸福論 佐々木 常夫 リベラル社 星雲社(2021/12) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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「そもそも人は何のために働くのか。(それは)他でもない幸せになるため。」

「人間は何歳からでも成長できます。自分の強みや得意技を生かし、働き手としての矜持と覚悟を持って行動を起こせば、必ず結果はついてくる」

佐々木常夫さんは、ワーク・ライフ・バランスの第一人者だ。

家族を大事にして病気の家族をケアしたうえで仕事を全うしてきたビジネスマンの先駆者。

「書くと覚える、覚えると使う、使うと身につく」と考えた彼は、相当のメモ魔であった。

彼は、50代をこう定義している。まさに言い得て妙だ。

3P「50代は、それまで築き上げてきたものに揺さぶりをかけられる『試練の時期』と言える。仕事では、人事評価や転職に対する不安、組織を担う責任感の重圧などから、『今のままでいいのか』『これまでのように働けるのだろうか』といった焦りの葛藤が生まれる。プラベートでも、親の病気や介護、成人にさしかかる子どもの問題、自らの健康不調など、精神的にも経済的も、忍耐を強いられることが増えてくる。」

また、このように書かれていたことも印象に残った。

「出世レースから外れたおかげで時間を確保することができ、時間を確保できたからこそ本を書くことができ。本を書くことに出会えたからこそ、新たなミッションを発見することができたのです。」

 

佐々木さんの本には、名言や格言がたくさん出てきた。

それらの言葉によって、これまで形を作って誠を実践してきたからだと思う。

 

〇100P 自分の生き方そのものが親子関係に反映される

結婚して子どもが生まて、その子どもたちが結婚して連れ合いを得て、義理の息子や娘、その兄弟や両親が喜んで自分の周りに集まってきてくれる。平凡でささやかなことですが。その平凡であることに無上の喜びが感じられることこそ、結婚がもたらす「計りきれない価値」ではないかと思うのです。

そして、人生そこに至るには、自分がどのように生きてきたか、家族とどう向きあってきたか、自分の生きてきた人生そのものが問われるような気がするのです。

親子関係、あるいは家族関係は、その人の人生を如実に映し出す鏡のようなものかもしれません。

 

〇131P 50代からの暴飲暴食は、「知性の欠如」

そもそも食欲を抑えられない、好きなものをのべつまくなしに食べてしまうのは、自分の欲望に歯止めがきかないということです。それは、理性は働かないということであり、やや知性に欠けていると言わざるを得ません。

欲と知性を比べると、欲のほうが勝ってしまうというのは、正しい判断を書いて損をしがちになるということです。食欲のあり方には、その人の知性や生き方が如実に表れていると言ってもいいでしょう。

美味しく、たくさん食べるのは悪いことではありませんが、50代からは「ちょっと我慢して控えめな食」を楽しめる知性を持つのが大事ではないでしょうか。

 

〇170P 本や新聞とは効率よく付き合う

「新聞は読まなくていい。新聞は見るものです」

そもそも、新聞を全部読んだら一冊の本を読むよりも時間がかかります。毎日配達される新聞にそんなに時間を費やすわけにはいきません。

そこで、新聞を開いたらまず「見出し」を眺めます。本文を全て読まない代わりに、見出しだけは全部目を通すのです。見出しさえ読めば、細かいところまで読まなくても、世の中で何が起こっているのかが十分わかるからです。それに見出しの大きさで事の軽重がわかるというものです。気になった記事や読む必要のある記事だけを選んで本文を読みます。じっくり読むのは、せいぜい一つか二つあれば十分でしょう。

必要なものだけを抜き出して読むほうが効率的に新聞を活用することができます。

新聞も株もあれもこれもと必要以上に欲張らないことがポイントなのです。

 

読書にしても、たんに量を多く読めばいいというものではありません。

私は「多読家に仕事ができる人は少ない」と考えています。おそらく、多読家の人は本を多く読む事に一生懸命で、実践に生かすことができていないのでしょう。実践に生かそうとすれば、仕事が忙しくなってそんなに読書ばかりしていられなくなるはずです。

そもそもいくら読書を重ねても、実践生かすことができなければ意味がありません。それならむしろ、読んだ量が少なくても、一冊の本を徹底的に読み込むほうが、効果的な読書が出来るのではないでしょうか。

本は数ではなく、読んだ内容をどれだけ人生に生かせたかが重要なのです。

 

 <目次>

はじめに 「五十代の危機」をチャンスに変えよう

第1章 これまでの仕事人生を棚卸しする

第2章 「仕事」から「人間関係」に軸足を移す

第3章 「戦略的なライフスタイル」を試みる

第4章 百歳に向かって「夢」を持つ

おわりに あなたの「忘れ物」を取りに行こう

 

1944年、秋田市生まれ。株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。家庭では自閉症の長男と肝臓病とうつ病を患う妻を抱えながら会社の仕事でも大きな成果を出し、2001年、東レの取締役に就任。03年に東レ経営研究所社長になる。内閣府の男女共同参画会議議員や経団連理事、東京都の男女平等参画審議会の会長、大阪大学法学部客員教授などの公職も歴任。