染井さんは、元芸能マネージャー。だから、芸能界のリアルな舞台裏をよく知っていると思った。
芸能事務所関係者、マネージャー、製作スタッフ、アイドルなど様々な立場の人を題材にした七編だ。これらはすべて独立した作品でそれぞれに面白い趣向が凝らされていた。
終わりの「娘は女優」がよかった。女優になりたいと娘は希望していたが、父親に反対されるから近所で親しい人たちに協力してもらい東京でオーディションを受けて合格していたのだった。
田舎育ちで頭が硬い父親はこれから広い世界に羽ばたいていく愛娘を応援するしかないなと。
これからの希望の光が見えるラストは良かった。
<目次>
クランクアップ
ファン
いいね
終幕
相方
ほんの気の迷い
娘は女優
1983年千葉県生まれ。芸能マネージャー、舞台演劇・ミュージカルプロデューサーを経て、2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してデビュー。脱獄した少年死刑囚の逃亡の日々を描いた『正体』はドラマ化され話題に。2024年の映画公開も決まっている。ほかの著書に「正体」「震える天秤」など