警察の公安一課と捜査一課、捜査手法や思想などが相いれない組織に身を置く二人の刑事が主人公。公安一課海老沢と捜査一課高峰の友情と動向とをうまく描きながら、時代に翻弄される警察内部を映し出してくれた。
いつの時代においても、どの組織においても当てはまることなのだろう。
警察だけではなくどこの組織でも。
組織は常にその存在価値を追い求めて、たとえば危ない橋を渡っても、組織の拡大を志向することを。
ミレニアム、21世紀に沸く平成日本。30年近く海外逃亡していたはずの極左の最高幹部が突然仙台に現れ、公安に衝撃が走った。身柄の移送を担当した公安一課の海老沢は、警察官人生最大の痛恨の失敗を犯す。一方、捜査一課の高峰は目黒の空き家で殺害された元代議士秘書の身辺を探る。被害者の経歴には6年間の不自然な空白があった。新聞記者からの思わぬ情報。死の床にある元刑事の父の言葉。そして海老沢に下った極秘の特命捜査―事件の様相は一変する。
<目次>
第一章 逃げていた男
第二章 壁
第三章 奇妙な指示
第四章 仙台
第五章 過去から来た人間
第六章 巻き戻す
1963年茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。2013年より専業作家となり警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。
