彼女の歌声を聞いたことがあるか。
他の誰でもない、彼女でしか発することができないやさしい声。
過去に一回でも聞くと忘れられない声。
色彩があるメロディ。
まさに彼女オリジナルだと分かる曲づくりをしてる。
かつて苗場などのスキー場に向かうときに、
これからの気持ちを盛り上げるため決してかかせないのは、ユーミンの音楽だった。
デビュー50周年を迎えた女性ポップシンガーYuming。
これだけ長く歌い手として、芸能界で活躍できるなんてすばらしいことだと思う。
八王子での生い立ちから、珠玉の「ひこうき雲」が生まれた大学生まで、荒井由実さんの少女時代を描く自伝的小説だった。
八王子の荒井呉服店という恵まれた環境で育ったうえで生来の好奇心の強さがあり。
その好奇心を満たすために、例えば米軍基地やジャズ喫茶に平気で行って楽しめる早熟な少女の感性と並外れた精神的支柱、行動力にもう脱帽だった。
そのころから、世間のなかで目立っていて音楽のスーパースターの片鱗を見せていた。
すべての糧は、ユーミンの音楽性に繋がっていたのだと分かった。
1970年代、シンガーソングライターとして十代でデビューを飾った荒井由実。
のちに日本最大の女性ポップスター、松任谷由実=ユーミンとなる煌めく才能はいかにして世に出たか。
八王子の裕福な呉服店に生まれ、ピアノに触れ、清元を学び、ミッション系の私立女子校に入学。
グループ・サウンズが一世を風靡するなか、由実は高度経済成長期の東京を、好奇心いっぱいに回遊しはじめる。
米軍基地、ジャズ喫茶、ミュージカル『ヘアー』、伝説のレストラン キャンティetc.……
次々に新しい扉を開けて、才能を開花させていく。
少女・荒井由実のデビューまでの軌跡をノンフィクション・ノベルとして描き出す。
<目次>
第一章 八王子の由実ちゃん
第二章 ピアノ、清元、サウダージ
第三章 立教女学院とパイプオルガン
第四章 マギーと立川基地
第五章 らせん階段の家
第六章 フィンガーズ・デイズ
第七章 一九六九年
第八章 カルチエ・ラタン的御茶ノ水
第九章 セブンティーン!
第十章 ハロー、キャラメル・ママ
1980年、富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。12年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行
著書に「あのこは貴族」「一心同体だった」など。
【No1229】すべてのことはメッセージ 小説ユーミン 山内マリコ マガジンハウス(2022/10)
