低所得の原因のひとつには、非正規雇用の増加が平均所得を下げているのがある。
書かれてあることはしごくごもっともであり、言い古されている内容で目新しさはない。
例えば、就業者の組織間流動性を高めるために年功序列的な賃金体制と退職金制度を改めたり、労働者一人ひとりの能力を高めるためのリカレント教育の充実、パートタイマーの労働時間を抑制している「○○万円の壁」といった税制の見直し、中小企業のデジタル化など、言い古されている政策の多くがうまく機能できていないことがいまの日本の現状につながっているのであろう。
198P 賃金を上げるための、たったひとつの道
他国の賃金が上昇していく中で日本の賃金は停滞しており、取り残されている。
「就業者一人あたりの付加価値(生産性)」を引き上げることが必要だ。
そのためには、企業が新しい技術を開発し、新しいビジネスモデルを見出す必要がある。また、日本の産業構造を新しくする必要がある。
日本の社会の仕組みを根底から改革しなければならない。
233P 日本にとって最も重要な長期的経済課題
高い付加価値を生む企業を作り、それによって持続的な経済成長を維持することだ。
<目次>
はじめに 毎日、勤勉に働いているのに賃金が上がらない
第1章 シリコンバレーの技術者は年収1億円
第2章 これでいいのか日本いまや韓国より低賃金
第3章 賃金を決めるのは、企業の「稼ぐ力」
第4章 あなたの給料は、日本人の平均より高いか?
第5章 賃金格差はなぜ生じるのか?
第6章 物価は上がるが賃金は上がらない
第7章 どうすれば日本人の賃金を上げられるか?
あとがき 人の生くるは、パンのみによるにあらず
索引
一橋大学名誉教授。1940年生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。専門はファイナンス理論、日本経済論
【No1199】どうすれば日本人の賃金は上がるのか 野口悠紀雄 日経BP日本経済新聞出版(2022/09)
