最近の小野寺史宜さんの作風とは明らかに異なるので戸惑いました。
14階建てのマンション「湊レジデンス」で物語が進められます。
本心を偽りながら生きる住人たちが描かれていました。
自転車のひったくりをやめられない成績優秀な中学生、会田望、
自転車泥棒に暴行を働く入江弓矢とこの腹違いの弟に劣等感を持つ入江充也、
就活時に交通事故に遭って就職に大失敗した根岸英仁。
彼らの鬱屈とした思いが紙面から溢れ出てきていました。
表面上、善良なる市民の顔からはわかりません。
自分たちのすぐそばにも悪意に近い人たちがいるのかも知れない。
現状に不満を抱えて心の空洞を埋めるかのように、ハチャメチャな行動をする人たちに恐れのようなものを感じました。
<目次>
プロローグ 警官
木曜日 晴
断章 援交
金曜日 晴一時雨
断章 情交
土曜日 曇
エピローグ 諦観
1968年、千葉県生まれ。2006年に「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー。『ひと』で2019年本屋大賞2位
