目から鱗が落ちました。
うすうす気づいていました。
ただ多くの本を読んでいるだけでは、決して頭が良くならないのです。
読書はあくまでも他人の考えを知るための行為であって、むしろ読書をしすぎることは自分の思考停止につながるのだと。
前半には思考の大切さとその方法が、後半ではその手順と応用力について書かれていました。
現在の教育は、生徒に対して知識を与えるだけで、思索があまり重要視されていないことを指摘していました。
コンピュータの普及により人が必要とするものは単なる知識の蓄えではなく、知識を道具として発展させる思考力向上なのです。そのように変化していくのです。
知識を生み出す思索、自分の頭で考える力を身に着けるためには、読書時に、対話する、問いかけるなどの大切さを確認することができました。
31P 読書は他人の思索の痕跡をなぞっているだけ
読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。絶えず読書を続けて行けば、仮借することなく他人の思想が我々の頭脳に流れ込んでくる。ところが少しでも隙も無いほど完結した体系とはいかなくとも、常にまとまった思想を自分で生み出そうとする思索にとって、これほど有害なものはない。
37P
他人の残した足跡だけを追いかけるという思考の様態は、極めて従属的な性格を有しているものです。これは、知識によって思考が支配されている状態であると言えます。こうした状況になってしまっている人の頭を「他人の思想の運動場」と表現したショーペンハウアーの洞察は、まさに慧眼であると言えるでしょう。
40P
私たちは、知識を獲得するプロセスと、自分の頭でものを考えるプロセスを分けて考えなければなりません。言い換えれば、「知識」を収集することが本質ではなく、そうした知識を生み出す思索を自ら行うことこそが、人間の知性にとって最も本質的なのです。
43P
書物から知識を受容するという一方的な読書法ではありません。そうではなく、書物に対して問いを投げかけながら読書するという双方的な読書法こそが、思索する精神には求められているのです。
<目次>
はじめに 答えなき時代に求められる「独学」力
「考える」とはどういうことか?―ショーペンハウアー『読書について』から考える
第1部 原理編―五つの「考える技術」(問いを立てる力―思考の出発点を決める、分節する力―情報の質を見極める、要約する力―理解を深める、論証する力―論理を繋げて思考を構築する、物語化する力―相手に伝わる思考をする)
第2部 応用編―独学を深める三つの「対話的思考」(「問い」によって他者に寄り添う―対話的思考のステップ1、「チャリタブル・リーディング」を実践する―対話的思考のステップ2、他者に合わせた「イメージ」を用いる―対話的思考のステップ3)
おわりに
1994年、東京都生まれ。2017年、上智大学文学部史学科卒業。2019年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化分野)修士課程修了。現在、同大学院博士課程、および日本学術振興会特別研究員DC1、「東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」リサーチ・アシスタント。専門は哲学(とりわけポール・リクールの思想)。2019年、日本哲学会優秀論文賞受賞。2021年、日仏哲学会若手研究者奨励賞受賞
