本田由紀さんのデータ分析力はすさまじく凄くて説得力があります。
内閣府の白書などの数値を用いて、「家族」「ジェンダー」「学校」「友だち」「経済・仕事」「政治・社会運動」の領域を社会学的に様々な観点で現代の諸状況を詳しく分析しています。
彼女の分析によると、理想的と思われる三世代同居が減ってきており、独りだけの世帯や親と独身の子だけの8050問題にあげられる世帯が増えてきています。
富の極端な偏在や貧困問題など厳しい状況下、政府が推奨する自助や共助ではカバーしきれない状況が露呈してきています。
諸情勢を鑑みると、公助を前面に押し出してしていかなければ、日本社会がうまく立ち行かない時期にきているのではないかと感じています。
55P 家族
日本の家族の変化は、少子高齢化といった長期的・構造的な要因を反映していますので、元に戻したりすることは容易ではありません。いま必要なのは、古い家族像を理想化したり、家族が担い切れないほどの負担を負わせたりすることではなく、どのように異例な「家族」であったとしても、あるいは一人で独立して生きていく場合であっても、安心して、かつ尊重されて人生を送れるようにすることです。そのためには、個々人を単位として、生命と生活を維持することができるためのモノ(住居や食品など)やサービス(医療や教育など)が、普遍的に確保できるような方向に向かっていくしかないのです。
169P 友だち
若い頃は学校に、大人の男性は会社に、大人の女性は家庭に、それぞれ囲い込まれた生活を送りがちな社会体制ができあがってしまっていること、もう一つは、日本の経済が低迷する中で、多くの人の暮らしが厳しくなっているのに、与党政治家や経営者が「自助」や「自己責任」で生きろと強調しがちであることです。
男女は、もちろん体力の差はありますが、能力においては平等だとは思います。
かつて森喜朗元総理のような女性差別発言が問題となりました。
地方では、冠婚葬祭時などの行動を見ていると、席順や発言時にはまだあきらかに差別が残っています。
またそれを良しとする女性もいます。
世代交代が進んで、ジェンダーフリーが社会の大勢を占める考えにならなければ、真の平等はまだ近くにはないと思います。
95P ジェンダー
何より重要なことは、男性であっても女性であってもセクシャルマイノリティであっても、誰もが対等な人間であり、誰もが他者から敬意を払われ、自分の望みを表明したり行動に表したりできるような社会にしてゆくということです。体のつくりが自分とは少し異なるだけの相手を、侮蔑したり依存したり憎悪したりすることが、いかに愚かなことか。
<目次>
はじめに
第1章 家族
第2章 ジェンダー
第3章 学校
第4章 友だち
第5章 経済・仕事
第6章 政治・社会運動
第7章 「日本」と「自分」
あとがき
東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学。著書に「教育の職業的意義」「教育は何を評価してきたのか」「軋む社会」など。
【No1023】「日本」ってどんな国?国際比較データで社会が見えてくる 本田由紀 筑摩書房(2021/10)
