【No.939】雷神 道尾秀介 新潮社(2021/05) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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藤原幸人にかかってきた脅迫電話が惨劇の始まりだった。

「雪から雷になる」

この雷ときのこがキーワードだった。

30年前、村祭りで毒きのこ混入事件があった。

身上持ちの地元有力者4人のうち死者2人で重症者2人が出たのだ。

父の南人が疑われたが証拠がなかった。

姉の亜沙実と弟の南人が落雷を受けていた。そのとき姉は右耳の聴力を失いかつ体に醜い痣が残された。併せて彼らは一部記憶をなくしていたのだった。

 

亜沙実と南人の息子の幸人、幸人の娘の夕美の3人は偽名を使って、30年前の事件の真実を探しに、雷が多くてハタハタが噛みつく村と呼ばれる故郷、新潟の羽田上村に行った。

記憶の断片を取り戻しながら、つなぎ合わせながら少しずつ真実に近づいていく様子はとても緊張感があった。

 

先を知りたくないと思いながらも読む手が止まらなかった。

同じく彼らの父である南人を無実だと信じたいと思っていたのだ。

全体的に暗く重い雰囲気がありながらも慈愛に溢れていた。

このアンバランスさが読み終えた後も長い余韻を残す原因となった。

地方特有の言い伝えや文化などの記述、細かなトリック、複線などは、物語の引き立てる筋道としてはとてもよかった。

 

 <目次>

第一章 平穏の終幕と脅迫

第二章 記憶の崩壊と空白

第三章 真相の解明と雷撃

第四章 怨嗟の文字と殺人

第五章 映像の暗示と遺体

第六章 最後の殺意と結末

終章 雷神

 

1975年、東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、作家としてデビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞を受賞。10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞する。11年『月と蟹』で直木賞を受賞