病理解剖などリアルに医学的な知識がないと描けないミステリーだ。
臓器の内壁にメッセージを残すことはなかなか思いつかない。
ある連続殺人事件を追っていた元刑事の水城穣がガンでなくなったところから謎解きが始まる。
主人公の水城千早は純正会医科大学付属病院の外科医で1年間の病理部への出向中、そこで千早を指導するのが元同級生の刀弥紫織。
千早が父の遺言に従い同意し紫織といっしょに遺体を解剖すると、胃の内壁に暗号が見つかり暗号を解明するとともに、28年前の連続殺人事件とつながっていく。
再開されたこの千羽鶴連続殺人事件との関連性がずっと解けなかったが、物語の後半に向かって期待値が上がっていき、ラストで一気に点と点が繋がった。
医師の千早と法医の紫織、そして父の穣と28年前に同僚であった刑事桜井ら関係者3人が知った真相は、彼らは、自分の墓場の中まで持っていくのだろう。
<目次>
プロローグ
第一章 胃壁の暗号
第二章 甦る千羽鶴
第三章 二十八年間の沈黙
第四章 死者からのメッセージ
エピローグ
1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。2004年から医師として勤務。11年、島田荘司選第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を「レゾン・デートル」で受賞。12年、同作を改題した『誰がための刃レゾンデートル』でデビュー。15年、『仮面病棟』で啓文堂書店文庫大賞を受賞。18年より『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』で本屋大賞に3年連続ノミネート
