交番勤務から川崎中央署刑事課に異動した若手刑事の村上翼。
彼は、正しくないことをあえて見過ごすようなことができない。我慢ならない強い正義感を持っている。
例えば、警察学校在籍時には、行為をしているところを偶然見かけてセクハラ指導教官と揉め事を起こして二週間外出禁止を命じられた過去があった。
同僚の不祥事を内部通告し裏切り者として疎まれている、傍若無人なベテラン刑事の影山康平に、新しく刑事に配属された村上は、何故かしら目をかけられて強引に外に連れ回される状況だった。
影山は、定時に出勤してこないし捜査会議にも参加をしない。独自に勝手に暴走気味な行動をしている。懲戒をもらってもおかしくないくらいの毎日の職務怠慢行為だった。
この影山が警察に居続ける理由は、自分に関係している女性が殺された十年前の未解決事件の犯人を捕まえることにあった。
この本も、頁を繰る手が止まらず展開が面白くて一気読みでした。
先輩たちに対しても臆せずに堂々と自分の意見を持って発言できる村上さんには、周りのみんながなにか組織に変化をもたらしてくれるように期待するのはわかります。
165P
関(捜査一課長)が折れた瞬間、村上は自分の中でまた何かが変わったのを感じた。そうだ、言うべきことは言って、堂々としていればいい。間違っているかもしれないと恐れる必要などないのだ。もしかしたら、影山とつき合っているうちに、自分は変わったのかもしれない。影山は、村上が反発しても反論しても、頭から潰しにかかるようなことはしない。そのせいで、「言ってもいいのだ」という意識が芽生えた可能性がある。
そんなことまで考えて、自分を使っているわけではないと思うが。
<目次>
第一章 孤立した男
第二章 警告
第三章 密告者
第四章 身元
第五章 危険な男
第六章 たどり着いた先
略歴〈堂場瞬一〉1963年茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社に入社。記者や編集者として勤務するかたわら小説を執筆し、「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。同作でデビュー。
