「講釈師見てきたような嘘をつき」
話芸についつい引き込まれてしまう様子をうまく表していると思います。
講談師は、迫真の語り口で堂々と演目を飾ります。
「古事記」、稗田阿礼が語り太安万侶が書き記した日本最古の歴史書。
この稗田阿礼が最初の講談師であり、これが講談の始まりだと言われています。
落語と講談を比べてみると、似ているようでいくつもの差異があります。
それぞれの理由は本に書かれてあるとおりですが、
見習い期間を、落語は「見習い」、講談では「空板」と言います。
真打になると、落語は「師匠」、講談では「先生」と言われます。
落語は「会話」で話が進み、講談では「説明」が加わります。
講談師で人間国宝の神田松鯉さんが講談の魅力などを丁寧に説明しています。
講談の歴史や軍記や時代物の演目など、普段では分からない講談の世界が広がります。
はじめて講談を聞きたい人にとっては、機会を見つけ先にこれを読んで会場に行ければ楽しめると思います。
<目次>
はじめに
第1章 講談と落語はどこが違うのか
第2章 講談の魅力
第3章 講談はどこで聞けるのか
第4章 講談の有名な話は
第5章 講談師の修業とは
第6章 講談の歴史
第7章 講談古川柳
おわりに
1942年生まれ。群馬県前橋市出身。講談師・人間国宝。日本講談協会、落語芸術協会所属。日本講談協会では名誉会長を、落語芸術協会では参与を務める。1970年、二代目神田山陽に入門。1973年、二つ目に昇任して「神田小山陽」と改名。1977年、真打ちに昇任。1992年に三代目神田松鯉を襲名。1988年、文化庁芸術祭賞を受賞。長編連続物の復活と継承に積極的に取り組み、講談の保存・継承だけでなく、後進の育成にも努める。長年の講談界全体への貢献と功績が認められ、2019年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された.。