【No.676】カケラ 湊 かなえ 集英社(2020/05) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

美容外科医の橘 久乃からのインタビュー形式。章ごとに相手が変わっていく。

脂肪吸引を依頼に来た元同級生や地元の後輩にあたる格下アイドル、高校時代の元カレとその息子、元同級生の妹で自殺した女の子の中学時代の元担任、自殺した女の子の高校時代の元担任、元同級生で自殺した女の子の母親、そして自殺した本人。それぞれの語り。

このように人物が多く登場してくるから、それぞれの関係性が徐々に複雑になってくるので相関図を描いた方が楽しめる。

「告白」や「白ゆき姫殺人事件」のように、彼らの口からだんだんと事実が明らかになっていく。

明確な真相は語られずに、匂わすような形式になり、全て言い表せない様々な事情がボタンのかけ違いのように複雑に絡みあっていく。

独白で物語が進行するのに、嫉妬や妬みなど人の陰となる部分を引き出して、読み手を不快にさせてくれるのは流石湊かなえさん!

現実の同じ出来事があっても別々の角度から見てみたら違う景色が見えます。

自分の固定概念だけを通すだけでなく、柔軟に相手の気持ちも汲み取ることが大切だと思う。

 

282P

カケラとカケラがはまって、家族ができ、町ができる。そして、一枚の絵の一片となる。だけど、皆がうまくはまれるとは限らない。学校という名の絵、会社という名の絵、なぜだか、自分だけ浮いてしまっている。この絵の中で自分の居場所がないのかもしれない。とはいえ、簡単に次の絵を探すことはできない。

無理に押し込むと、周囲のバランスも崩れてしまう。

少し形を変えれば、うまくはまるのに。

283P

自分の作りたい絵に対しては不自然に思えるピースでも、そのピースがぴたりとはまる場所は必ずある。

逆に、自分がはまる絵を思い描くことができない、ということもあるかもしれない。そういう時にも、よかったらご相談ください。その絵を一緒に想像しましょう。

あなたというカケラがぴったりはまる場所は、必ずあるから―。

 

 <目次>

プロローグ

第一章 ロック・ジュウヨン

第二章 ドーナツの真ん中

第三章 似たもの親子

第四章 道徳とか、倫理とか

第五章 あまいささやき

第六章 あこがれの人

第七章 あるものないもの

エピローグ

 

1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞、受賞作を収録した『告白』でデビュー。同作で09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。18年『贖罪』がエドガー賞候補となる。その他の著書に『夜行観覧車』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『山女日記』『リバース』『未来』『落日』など多数。

 

湊かなえさんの御本をもって、僕の読書納めとなります。

お世話になりました。

ありがとうございました。

また新しい年もお付き合いのほどよろしくお願いします。