【No.675】毒島刑事最後の事件 中山千里 幻冬舎(2020/07) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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教唆-1ある事を起こすよう教えそそのかすこと。2他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせること。被教唆者が決意・実行したときは教唆犯として正犯に準じて処罰(刑法61条)。教唆方法は明示・黙示,直接・間接を問わない(デジタル大辞泉より)

 

「作家刑事毒島」の前日譚として、毒島真理が警視庁捜査1課の警部補だったころのストーリーだ。

一話目の不倶戴天は、連続射殺事件。二話目の伏竜鳳雛は、爆破事件。三話目の優勝劣敗は、女性を狙った塩酸を顔にかける事件。四話目の奸佞邪智は、身内を殺した犯人への復讐殺人事件。五話目の自業自得では、全ての事件に絡む人物、犯罪を教唆する「教授」の正体が明らかになる結末。

途中に二転三転する展開は、予想されたがさすがどんでんがえしの中山七里作品だった。

 

毒島は、類いまれな洞察力があり、温和な表情に反した執拗に鋭く辛辣な物言いだ。

卑劣な犯人を崖っぷちまで追い詰める心理戦は、ほんと見事なくらいあっぱれだ。

警視庁随一の検挙率を誇るため刑事としては優秀だが、部下として、人としては信用・信頼が置けないタイプのようだった。

 

出世に興味があるこじんまりとした可もなく不可もないタイプよりも、饒舌で毒舌で変人であっても結果を残し、周りに何か大切な意味を与える毒島のような人物と時間を共有してみたい。

澱んだものを攪拌させて澄んだ空気が充満するような組織に活性化させる機能があると思うからだ。

 

 <目次>

不倶戴天    

伏竜鳳雛    

優勝劣敗    

奸佞邪智    

自業自得  

 

1961年岐阜県生まれ。花園大学文学部国文学科卒。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年1月デビュー。ほかの著書に「贖罪の奏鳴曲」「能面検事」など多数。