インフルエンザなどの人に感染していく病気は、人間の歴史とともにありました。
同じような流行が、将来また起こるはずです。
今回の新型コロナから学んでほしい。
スペイン風邪や天然痘のパンデミックのように、過去の歴史を紐解いてそこから学ぶ後世の人たちがきっといるはずだ。
未知のウイルスを「正しく恐れる」ために、失敗や成功した対応策等の記録を詳細に残すことです。
使命感を持ち十二分に検証をして後の時代に活かせるよう、人間の叡智を繋げていってほしいものです。
接触感性ではなく、空気感染が主だと考える意見があるのは一考すべきです。
専門家の中にも分化していて、感染専門家の中にも、細菌とウイルスとの別の専門家がいることを知りました。
情報は偏ってはいけない。
どちらか一方の意見だけではなく、色々な人の意見を踏まえて判断していきたいものです。
116P ウイルスを知らない専門家
テレビのワイドショーなどに出ている専門家を見ていくと臨床の先生とか公衆衛生の専門家もいますが、大半は細菌とくに抗菌薬関連の感染管理の人たちですね。ウイルスを研究している人はほとんど見かけません。細菌の専門家、いわゆる「ばい菌屋」さんが多いから手洗いばかり言うんです。細菌は主に接触感染ですから。しかし、新型コロナでは接触感染だけでは説明しきれないものが出てきています。空気感染を認めざるを得なくなって、「マイクロ飛沫」などという新語を作って、テレビで、さも自分たちが新しい感染様式を発見したようなことを言う。前々から空気感染を主張している「ウイルス屋」たちは頭に来ていますよ。
感染管理には長い歴史があり、主に病院の感染管理なんです。病院での感染管理はほとんどが細菌を想定したものです。手洗いを一生懸命やれというのもその発想です。その延長線上で考えるから、空気感染が主と考えられるインフルエンザやコロナでも「まず手洗い」ということになる。これは日本だけではなく、アメリカもWHOも同じです。感染管理の世界はほぼ「ばい菌屋」さんです。
密集、密接、密閉などの三密を避ける意味があります。
173P
すべての飛沫の中にウイルスがいるわけがない。飛沫のごくわずかな部分に含まれているだけなので、ちょっとでも風が吹けば流れていきますよ。ウイルスを吸う確率はかなり低い、ただし、密閉された狭い空間の場合は空気がそこに滞留しますからリスクはあります。そういう説明をすればいいのです。
経済を回すため、観光地など全国に人が移動し人との接触が増える政策であるGOTOイベント。
これが開始されたころ、患者が減っていたがまったくゼロではなかった。
振り返ってみると、患者が増えても対応できるようにしておくべきであった。想定すべき準備がうまく機能していなかったのでは?ということが気がかりです。
市中感染している中において、さらに重症化させないこと、人を亡くならせないために、いまやれることをすべきです。
135P コロナがあらわにした社会観、人間観
ゼロリスクを追求していくと社会は窒息します。少々患者が出ても仕方がないという考え方に切り替えないと社会は持ちませんよ。それはしょうがないというふうな観点から、社会全体をいい方向に持っていこうとか。そういう感染なんか起きてもいいから、重症化したり、死んでしまったりするような人を少なくすればいいだけじゃないかとか。そのような考え方があるわけです。まだ主流になれませんけれど。
コロナウイルスは、オールオアナッシングにはならない。
この感染症には、一人ひとり正しく恐れて対処していくことしかないのではと思います。
182P 救いは重症化率がさほど高くないこと
過去の事例などを参照して考えると、コロナ禍と呼ばれる状態はおそらく2,3年は続くと考えられます。ワクチンや何らかの治療法が確立するまで、しかし、ワクチンや薬ができても、そこでこの病気をなくすことはできません。インフルエンザを考えればわかります。ここまで広がるような病気になってしまったからには。
<目次>
まえがき 井上 亮
第1章 「空気感染」を直視せよ ウイルス学からの提言
第2章 「正しく恐れる」ために 「ゼロリスク」を見直す
第3章 専門家の役割とは メディアで、政策決定の場で
第4章 感染症の歴史に何を学ぶか
第5章 パンデミックと生きるために 医療を守り、生活を取り戻す
あとがき 西村秀一
<附>これは変だぞ、コロナ対策
西村秀一 1955年山形生まれ。山形大学医学部医学科卒業。医学博士。国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長
世界最大・最強の感染症研究機関である米CDC(疾病対策センター)での研究を経て、新型インフル(香港)、SARS(台湾)の現場を経験するとともに、クロスビー『史上最悪のインフルエンザ』訳者、内務省衛生局『流行性感冒』解説者として、感染症の歴史にも精通した、呼吸器系感染症のエキスパート。
