【No631.】きたきた捕物帖 宮部みゆき PHP研究所(2020/06) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

たとえば、天秤棒を担いでいる表紙のきたさんから、やさしくほがらかで彼なりにがんばっている様子が、89Pに挿入されている絵からは、きたさんをはじめみんなでいなくなった松ちゃんのことを真剣に心配している様子がこちらにいきいきと伝わってきます。

ここから描かれていく物語の内容をうまく表現していると思います。

 

「きたきた」は、北一と相棒の喜多次。二人のきたさんのひらがなの頭文字を取ったものです。

きたきたコンビと周りの仲間たちとの義理と人情の熱きドラマと色々な人の力を借りながら怪奇で不思議な謎解きが繰り広げられています。

 

北一は、三歳の夏、迷子になっていたところを千吉親分に拾われました。小柄で痩せっぽちの千吉の末の子分です。千吉の文庫を振り売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てています。風采が上がらず頼りないが優しくて欲がない男です。

 

相棒の喜多次は、湯屋・長命湯の釜焚き。伸ばした髪を束ねただけで一見貧相でみすぼらしいが実は美青年です。北一がある家の縁の下から掘り起こした白骨。これといっしょに見つかった根付けと同じ意匠の刺青を喜多次がしていたことをきっかけに北一と知り合います。

 

千吉親分は、お江戸の深川の人々から信頼厚い岡っ引きで、華やかな色柄で大人気の文庫屋も商いをしています。粋で女あしらいが抜群ですが、てっぽう(ふぐ)に当たって急に亡くなってしまいます。

 

千吉の盲目の女房松葉や松葉付きの女中のおみつ、旗本・椿山家の用人の青梅新兵衛、深川の洒落者の差配人の富勘、千吉を信頼していた本所深川方同心の沢井蓮太郎、文庫屋を引き継いだ万作、万作の嫁のおたまなど色々なキャラクターが登場してきてこの捕物帖を彩って面白くしています。

周りの仲間たちがきたさんの成長に必要な栄養を与えてくれているように感じます。

宮部みゆきさんの楽しくワクワクするシリーズが誕生ですね。

 

 <目次>

第一話 ふぐと福笑い

第二話 双六神隠し

第三話 だんまり用心棒

第四話 冥土の花嫁

 

1960年、東京生まれ。87年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞、92年、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年、『火車』で山本周五郎賞、97年、『蒲生邸事件』で日本SF大賞、99年、『理由』で直木賞、2001年、『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、02年に同書で司馬遼太郎賞、07年、『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞