【No.628】イワン・デニーソヴィチの一日 ソルジェニーツイン 木村浩訳 新潮社(1963/3 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

参議院議員の鈴木宗男さんが受刑者生活を送っていたときに読んでいた本の一つだと聞いたことがあります。

 

「午前五時、いつものように、起床の鐘が鳴った。」で文章は始まります。

午前五時に起床して、野菜汁と粥の簡単な朝食を食べて、酷寒(マローズ)の中でブロック積みの作業をして、作業場近くの食堂で燕麦粥の昼食をとり、再び作業に戻る。

作業を終えると点呼を受けて、ラーゲル(強制収容所)に戻り、野菜汁とパンの夕食にありつき、自室に戻ってもまた外に出されて点呼を受けてようやく眠りに就きます。

 

淡々と続く一日の終わりに、イワン・デニーソヴィチ・シェーホフは

「きょう一日、彼はすごく幸運だった。営巣へもぶちこまれなかった。自分の班が<社生団>へもまわされなかった。昼飯のときはうまく粥(カーシャ)をごまかせた。班長はパーセント計算をうまくやってくれた。楽しくブロック積みができた。鋸のかけらも身体検査で見つからなかった。晩にはツェーザリに稼がせてもらった。タバコも買えた。どうやら、病気にもならずにすんだ。」と回想しながら眠りにつくのです。

 

強制収容所の厳寒で過酷な極限の下、周りにただ流されるだけではなく、そこでやれることやできることをしながら、どのようにして楽しみを見つけていくのか、いかにして生きていくのか、幸せを感じていくのかなどに関心を持ちました。

 

当たり前で何不自由なく過ごせている毎日は、比べようがないほど幸せだと思います。

現代は、物質的には満たされた生活をしていながらも、こころから豊かな幸せを感じられていない人が増えています。

幸せは、人それぞれの主観的なものであり、限られた環境の中でも必死に見つけ出そうと思えばいくらでもできるのです。

 

起床から現場作業、食事風景、点呼、就寝までの平凡な日課に沿ってラーゲルの一日を鮮明にリアルに描きながら、その間に百姓(ムジーク)、軍人、インテリ、オールド・ボルシェヴィキ、バプテスト信者、元富農、官僚など社会のあらゆる階層の人々を登場させて、彼らの行動と会話を通して、ソビエト時代当時の暗黒な歴史を浮き彫りにしています。