【No.620】歴史とは靴である 17歳の特別教室 磯田道史 講談社(2020/01) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

歴史とは、なぜ靴なのか!

靴は、実用品だから。

靴を履くことは、みんな当たり前だから。

靴が傷つかないように足を守ってくれるから。

靴を履いた方が道を裸足よりも歩きやすいから。

靴を履いた方がかけっこしやすいから等々……。

 

各自にこういう風に考えさせる授業を受けた高校生たちは、さぞかし幸せだったのではないか。

多感な青春時代に、これからの人生を歩む指針というべきものを示してくれる授業だった。

歴史は単純に記憶するのではなく、生きて行く上でとても役に立つ学問だということが、磯田先生の丁寧でわかりやすい説明から生徒たちに伝わったと思うからだ。

 

42P 歴史とは靴である

人間にはそれ(過去や歴史の体験から考えると未来の危険の予測がつくこと等)ができます。

ですから歴史とは、世間を歩く際に、足を保護してくれる靴といえます。

なにごとも歴史的な考え方は大切になります。常日ごろから、時間と空間を飛び越えて、似たようなことはないかなと考えながら暮らすと成功パターンも知れ、危険が避けられ、成功しやすいのです。

 

史実があれば、勝者だけでなく敗者などの他者の目線で客観視して、ものごとを総合的に俯瞰することによって偏りが少ない正確な判断ができるようになる。

このやり方は、歴史だけでなくそれ以外の生活していくなかでも結構活用ができる。

 

47P 矛盾が大事

問題なのは、史実はひとつですが、どこを見るかで、ずいぶん違った話になります。ここに重要な点があります。

自分に都合のいい史実だけを見ようとすると、見えるものが、とても少なくなってしまう点です。双方の利害、複数の視点で物事を見なくてはなりません。勉強でも学問ですここが急所です。そしてここから先がほんとうに大事です。自分にとって有利な情報も、有利でない情報も、両方しっかり見なくてはいけません。

(中略)

歴史とは、けっきょく、他者理解です。なるべく自分から離れて異時空を生きた人びとの了見をも理解しようとしたほうが、情報量が多くなり、客観性が増し、歴史認識が深まります。

 

 <目次>

歴史と人間(植木鉢の破片じゃなくて、空間や時間を飛び越せる動物、記号、シンボル、抽象化、針とビーズ ほか)

休憩中の会話(「これが好きだ」というものを、真剣に追いつづけられたら幸せです)

歴史の「現場」(ニセモノはなぜ生まれるか、一次史料と二次史料、「いまだから言える」ということ、すべてが史料になりうる ほか)

図版出典一覧

 

 

1970年、岡山県生まれ。歴史家。国際日本文化研究センター准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。『武士の家計簿』(新潮新書)で新潮ドキュメント賞、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。ほか著書多数。該博な知識と親しみやすい語り口で、テレビでも多くの視聴者に歴史の意味と愉しさを伝えている。