人間が決して避けられないのは、「死」です。
死については考えないようにしているのが普通なのかもしれません。
人は、いつか死ぬ存在であることが頭ではわかっています。
死に向かってただ進んでいるのではなく、当たり前に過ごせる毎日に感謝して、働きがい・生きがいなどを感じながらよりよく生きていきたいものです。
また免疫機能の低下などにより病気やガンになったり、年齢を重ねることで認知症になったりする可能性も高くなってきます。
例えばガンや認知症と診断される前に、可能性に備えてそれらを知ることができれば、心がまえがある(できている)のでそのときには慌てず、強いショックがあっても少しは気持ちが和らぐのではないかと思うのです。
80-81P
認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われると怒るのか
―「もの忘れ」ではなくて、「記憶のしづらさ」だから。
記憶は、外の情報を脳に「入れる」「持つ」「出す」ということ。
5P
ここに書いた話は、私がお会いした数千人の認知症の人から聞いた話、認知症の人と同伴した人のやりとりを聞き考えた話、認知症の人の話から当院のスタッフと日々考えた話で構成されています。
5P
私は、認知症の本当の姿を見ることは、認知症の本人、周りの人たちが前向きに生きる上で大切なことだと思っています。
長寿社会を迎え、いまは誰もが認知症になり得る時代です。
いまは自分の近しい人の心配をしているあなたも、近い将来認知症になるかもしれません。そうなったときに、ご自身の人生を絶望の淵に追いやらず、あきらめずに自分の人生の主体者としていき抜いていただくためのヒントを書きました。
認知症になってもあなたの人生は続くのです。
207P 認知症の人にとって暮らしやすい社会とは、誰もが暮らしやすい社会のこと
ふだんわれわれがどう生き、どう暮らすのかのヒントが得られるはずです。
つまり認知症の人のことを考え何かを実践することは、そうではない人にとっても過ごしやすい社会とは何か、を考えることになります。
<目次>
はじめに
第1章 認知症予防の真実(認知症の人はたくさんいるの?、「○○すれば認知症にならない」は本当ではない、国が「認知症予防を」と言っています、予防がダメならどうする?)
第2章 認知症の“診断”の真実(なぜ認知症診断は難しいのか、自分が自分でなくなる不安、なぜ、なんども同じ事を言うのか、認知症になれば「本人は幸せ」か)
第3章 認知症という“症状”の真実(なぜ認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われると怒るのか、暴言・暴力は認知症の「症状」ではない)
第4章 認知症の“治療”の真実(薬の真実、早期発見の大切さ、暴れることの真実、せん妄とは)
第5章 「認知症と生きる」真実(認知症を悪化させないためにどうすればいいのか?、大事なのは本人とのコミュニケーション、自立・自律して生きられる?)
おわりに
1962年兵庫県明石市生まれ。東京大学医学部保健学科卒業、同大学院修士課程修了(疫学教室)、博士課程(保健社会学教室)中退後に山梨医科大学卒業、同大学助手、国立精神・神経センターゲノムプロジェクト(アルツハイマー病、てんかん)非常勤研究員を経て医療法人社団こだま会こだまクリニックを2001年に開院。日本初の認知症専門の訪問診療を始める。2014年三鷹市にのぞみメモリークリニック開院。認知症が気になる人の外来診療を開始した。所属学会は日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本認知症ケア学会、日本老年医学会など。NPO法人地域認知症サポートブリッジ代表、JDWG(日本認知症本人ワーキンググループ、認知症当事者の主体的組織)の設立支援、お福の会(立場を超えて認知症を考える会)呼びかけ人、認知症当事者研究勉強会世話人など
【No.616】認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われて怒る理由 5000人を診てわかったほんとうの話 木之下 徹 講談社(2020/08)
