例えば、日頃使っているフライパンが焦げない理由や電子レンジやオーブンの温め方の違いなどどうしてこうなっているのかなとふと思ったことがあります。
日常のささいな不思議の答えが、文系でもよくわかる物理学の本にありました。
難しい物理学も身の回りのことに関連づけて考えると理解しやすくなります
日常に落とし込んで自分の視点で行動していれば、物理が面白くなって学生時代に好きになっていたかもしれません。
・スマホの指紋センサーに自分の指紋をあらかじめ登録しておくとパスワードを入力する手間なく、センターに指を触れるだけの指紋認証でセキュリティロックがなぜ解除できるのか?-指に電気が帯びていて、指紋の形に電気が集まるのを指紋センサーが感知するから。
・フッ素樹脂加工のフライパンがなぜ焦げないのか?-水の表面張力のほうが強くてフッ素樹脂の表面張力が弱いため水分がペタッとくっつかないから。
・5G(generation)第五世代の通信規格はなぜ大容量なのか?-波長が短い電波を使い超高速で振動している。振動数が多い電波で情報をたくさん詰め込めるから。
・電子レンジとオーブンとの温め方の違いは?-電子レンジは、食べ物に含まれている水分を電波が振動させて温めている。オーブンは、赤外線を放射して表面から温めている。
・太陽系に水はあるのか?-火星、土星のまわりの衛星「エンケラドゥス」、木星の衛星「エウロパ」などにある。
・宇宙に生命体は存在するのか?-水が存在する星に生命体がいる可能性は否定できない。
4P 「はじめに」 から
学生時代に物理学が嫌いだった人は、「現実離れした仮定のもとでひたすら計算させられる教科」といった印象をもっている人が多いと思う。まるで現実と物理学の世界はぶっつり切れているかのように。でも、本来の物理学は、世の中の仕組みや原理を追求するものであって、私たちが生きている世界を知るための学問だ。
その一方で、物理学を知ることで、それまで当たり前すぎて気にも留めていなかったことが、あやふやに感じられるようになることもある。たとえば、時間は過去から未来に流れていくとは限らないとか、「硬い」と感じる物も私たちの体も中身はすかすかだとか、私たちが「温かい」と感じているものは実は分子の振動であるとか……。
物理学を知ることで物事がわかるようになるおもしろさと、わからなくなってくるおもしろさ、その両方を味わっていただければうれしい。
<目次>
はじめに
1章 時間は流れない
2章 スマホに使われている物理学
3章 魔法の角度をもつ水
4章 生活に隠れた物理学
5章 医療を支える物理学
6章 物理学者の今と昔
終章 日常の「当たり前」は「当たり前」ではないかもしれない
おわりに
高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所・教授。博士(理学)。京都大学理学部卒業。広島大学大学院博士課程修了。東京大学、ジョンズ・ホプキンス大学、名古屋大学などを経て現職。主な研究分野は宇宙論。日本天文学会第17回林忠四郎賞受賞
