【No.606】カインの傲慢 中山七里 角川書店(2020/05) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

カインはアダムとイブの長男。カインは、弟のアベルを亡き者にした。

カインは、人類最初の殺人者とされている。

 

犯罪を誘引する一因に貧困があった。

世の中には、光があれば必ず陰の部分もある。

当たり前の毎日で当たり前の食事がとれない子供たち。

公園で発見された少年のやせ細った遺体から肝臓の一部が摘出されていた。

刑事らが臓器売買グループを探るうちに突き当たっ貧困問題。

やりきれない思いが詰まる医療と社会の闇に迫るミステリー。

貧困家庭の子供たちを狙った臓器売買グループはもちろん許せないが、臓器を摘出した後に死んでいる者がいる一方、臓器を売ることでお金を得て生き長らえる子供たちもいることも確かだった。

倫理問題はさておいても、何も損をする人はいないのではという犯人の言い分が間違っていないかとちょっと思えてきてしまったのがイヤになった。

 

少年たちに甘い声をかけると、短絡的に臓器売買に飛びついた。

ほんとうに彼らがそれ以外にできないのかどうか。

判断が甘くて救われる手立てがないように思える。

 

捜査一課の犬養隼人が犯人を捕まえたことは刑事としても人間としてももちろん正しい。そうすることで臓器を提供する側の供給と待ち望んでいる需要のバランスが崩れてしまい、移植がさらに難しくなるという事実があった。臓器移植については、必要な人に対するドナー数が少ないという現実がある。

また犬養の妹が臓器移植を待っているというあまりにもつらい話題もあったのだが。

 

 <目次>

一 死者の名前

二 二つの国の貧困

三 貧者の資産

四 富豪の買物

五 カインの末裔

 

1961年、岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。ほかの著書に「笑え、シャイロック」など。