(心神喪失及び心神耗弱)
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
高砂幼稚園で幼児や先生らを惨殺した直後に、自らに覚醒剤を注射した凶悪犯の仙街不比等。
彼の担当になった天生高春検事は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れていた。検事取調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮していた……。
これは読まずにはいられません。
サービス精神旺盛な内容でした。
中山さんの他の作品のキャラクターたちが登場してきます。
埼玉県警の古手川、渡瀬刑事から始まって、東京高検の岬恭平、“死体配達人”弁護士の御子柴礼司、浦和医大法医学教室の光崎教授、警視庁刑事の犬養隼人などが次々と出てきます。
主人公たちの物語が頭の中で錯綜してキャラが自然に動くのです。
この題名の『合唱』とは、こういうことを意味するのかと一人納得しました。
平成30年9月に中山七里さんを囲んでの読書会がありました。
その席で「2020年を楽しみにしてほしい!本を通じて何か面白いイベントを考えているから。」とお話しされていたことを思い出しました。
これが、中山七里作家生活10周年記念12ヵ月連続刊行だったのかと。
凶悪犯の仙街は、なぜこの幼稚園を狙ったのでしょうか!
読み進めると分かってきます。
やはり期待通りの展開がありました。
中山さんは、流石!どんでん返しの帝王だ。
文章のつながりが音楽的に滑らかで素敵でした。
146P
「方法とチャンスと動機。導き出される容疑者、そして自白。ところが一連のハーモニーに濁りを感じた場合、どこかに不協和音が潜んでいるものです。」
ほかの事例にも当てはまる名言だと思います。
224P
「専門的な職業に求められるのは技術と情熱だと思います。技術だけが優れていても先進性がなければ世界が拡がらない。情熱があっても技術が伴わなければ空回りをしてしまう。それは、どの分野にも共通していることではないでしょうか」
<目次>
アレグロ マ ノン トロッポ、ウン ポーコ マエストーソ
モルト ヴィヴァーチェ
アダージョ モルト エ カンタービレ-アンダンテ モデラート
プレスト-アレグロ アッサイ
合唱 「おお友よ、このような音ではない」
エピローグ
1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。ほかの著書に「おやすみラフマニノフ」など
