18P お船様とは、村の全面にひろがる岩礁の多い海で破船する船(座礁船)のことだ、と佐平は言った。
237P この小説の中心には、二つの「お船様」がおかれている。米を積んだ船は共同体に「幸福」を、疫病(天然痘)の死者をのせた船は、その「災厄」と死の危険を示している。
「禍福は糾える縄のごとし」が思い出されました。
わざわいが福になり、福がわざわいのもとになったりして、この世の幸不幸は縄をより合わせたように表裏をなすものであるの意。人の知恵で計り知ることはできないというたとえ。吉凶は糾える縄の如し。(精選版 本国語大辞典より引用)
季節折々の風景や情景描写が素晴らしくて、絵を見ているようにその光景が目に浮かびます。
ある貧しい漁村に生きる人々の暮らしや葛藤、貧しさ故の悲劇を淡々と丁寧に綴られています。
この村に住む少年の伊作の目線から物語が語られます。
貧困にあえぐ村の描写や日々の生活、漁師として成長していく伊作、派手さはなくとも引き込まれます
気持ちが重たくて悲しいけれどもじめじめと引きずるようなものではなく、もっともっと心の奥深くに響くようなはかない暗さです。
