控えめの女性の性体験から、母の宗教上の教えに逆らいつつも自分の性を糧にする、夫がいながら恋人との逢瀬を楽しむ、精神科医でありながら自分の性に疑問を持つ女性まで、心が傷ついた四人の女性たちが愛を求める物語。
それぞれの心の中に深く埋め込まれたトラウマが、水面に広がる一滴の墨のようにして毒の花を悲しく咲かせています。
その毒の花の香りを身にまとった彼女たちが告解に訪れる金井神父。
彼にもまた大きな秘密を背負っていたのでした。
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「愛する方法は、肉体を繋ぐだけではありませんよ」
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肉体が触れ合わない人生に、愛はないのだろうか。
精神的だけで繋がる愛もあるのでしょう。
島本さんならではの愛の解釈ではないかと思います。
例えば、LGBTや近親相姦などを取り上げながら、深い洞察力で人の深層心理を暴き出しています。
喜怒哀楽がほかの何かに形を変え、彼女たちを抑圧しある時には暴走させてしまう力を持っているものだと感じました。
<目次>
夜のまっただなか
サテライトの女たち
雪ト逃ゲル
静寂
1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。2018年『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞受賞
