お葬式のかわりに死んだ人の肉を参加者みんなで食べる「生命式」、
人毛のセーターやホクロや傷痕の残る皮膚で作られた結婚式用ベールを「素敵な素材」など。
死者を食することなどはまったくできないし、人毛のセーターなどを身につけれない。
狂っていると思うほどに理解するのが難しいことであった。
いまでは当たり前の常識が将来変化することを、これまでは異常であることが逆転するような未来があることを想定していかないと。
死生観や宗教観、倫理観、感情、食文化など。
この生命式を読みながら、吐き気をもよおすようなある種の気持ち悪さがあった。
人によって正常なのかそうでないのかの尺度があるものだ。
不可解さと不可思議さ、違和感などが入り混じった短編集だった。
<目次>
生命式 7
素敵な素材 51
素晴らしい食卓 73
夏の夜の口付け 101
二人家族 107
大きな星の時間 119
ポチ 125
魔法のからだ 135
かぜのこいびと 153
パズル 165
街を食べる 199
孵化 233
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞
