一生に一度だけしか会えない。
死者との再会を仲介する使者(ツナグ)
祖母アイ子から使者を継ぎ成長した歩美の七年後が描かれている。
顔も覚えていない父親や尊敬する歴史上の人物、事故死した幼い娘と病死した娘、そして憧れのお嬢様に会うお話。
死んだ人を思う気持ちは残された人の中で生き続けて彼らの生き方に影響を与える。
死者は生者に再会を請われることによって死者もまた報われるものだと気づかされた。
心が温まり目頭が熱くなった頃。
歩美の将来に向けた動きを感じる明るく次に続く終わり方があった。
121P
「自分の人生の意味だとか、なんだとか」
歩美に、通じていようといまいと構わない様子だった。鮫川が言う。
「そういうことから自由でいられたものが、八十を過ぎたころからこの私でも気になるようになった。死者になぞらえて言えば、誰に会いたいかではなくて、自分が死んだ後で誰かが会いに来てくれるかどうかが気になるような―、さっきの上川氏のような気持ちも、少しはわかります。私の場合は、会いに来てもらうことの方は端から諦めておりますが」
<目次>
プロポーズの心得 5
歴史研究の心得 71
母の心得 125
一人娘の心得 179
想い人の心得 235
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞、2018年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞受賞
(ことしもどうぞよろしくお願いします。)
