【No.492】希望が死んだ夜に 天祢 涼 文藝春秋(2017/09) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

266P「希望が死んだ夜みたいな真っ暗なこの国」

貧困やDV、教育格差等々あまりに重くせつないテーマが流れていた。

 

表面上に見えるまぶしくキラキラした姿勢と、それに反して実際の状況が違っているのは、芸能界だけじゃなくて現実の世の中の家庭でもあることなのだろう。

 

女子中学生の冬野ネガが同級生の春日井のぞみを殺した理由が想像できない。

気持ちに違和感があってなかなか落ち着かなかった。

途中からその違和感を解消するため小説に取り込まれてしまいほぼ最後は一気読みだった。

 

のぞみの姿をネガに見せることによって、ネガが死なないようにさせたかったのぞみの思いに馳せる。

感情移入が避けられない巧みな筆致と哀しくも温かい結末からとてもつらい気持ちになった。

 

貧困や生活保護を受給されるような状況になったことがない。

「アフリカの子どもたちに比べると……」というような、中学校の担任からの不誠実な軽い発言もあった。

 

振り返ってみると恵まれた環境で育ち安定した職業についた者として、軽々しく「頑張ればいつか……」というような無責任な発言ができない。

 

ただ、

268P

それでも、誰かの苦境に思いを馳せることができれば―

 

 

1978年生まれ。「キョウカンカク」でメフィスト賞を受賞しデビュー。他の著書に「葬式組曲」「謎解き広報課」など