広島から期間勤務の研修医として葉山に来た碓氷は、小さい頃、借金を残して失踪した父に対するわだかまりに縛られていてお金にとても執着があった。
脳に腫瘍という爆弾を抱えて余命いくばくもなく、さらに誰かに命を狙われている大金持ちの患者ユカリ。
彼らこころに傷を持つ者同士がいつしか心を通い合わせていくのだ。
でも、そんな単純なラブストーリーでは終わらなかった。
「人はいつか必ず死ぬ」ということを思い出させてくれた。
平穏な普通な毎日を過ごしていることが、患者の立場から考えるとなんて幸せなのかと気づかせてくれた。
前半に伏線があって、後半には思いもよらない展開になかなか頭がついていけなかった。
例えば、碓氷がユカリの遺書を発見するところなど少々無理のある設定と思うところもあったが、ぼくは時を忘れて最後まで読み終えてしまった。
読み応えのある恋愛医療ミステリーでした。
碓氷の元彼女の冴子について一言。
医者でもある彼女は、ピリリと効いた一味のように、この小説を冴えるミステリーにさせた重要な脇役だった。
<目次>
プロローグ
ダイヤの鳥籠から羽ばたいて
彼女の幻影を追いかけて
エピローグ
1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒。日本内科学会認定医。島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した「誰がための刃」で作家デビュー。
