【No.453】そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文藝春秋(2018/02) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

二人の母と三人の父。

愛でバトンがつながっている。

ラストの結婚のくだりが秀逸。

もう涙腺が緩んでしまう。

 

実のお父さんからの手紙や、森宮さんの早瀬さんのお母さんへの手紙、梨花さんの数々の愛情、泉ヶ谷さんの安定感等々で、徐々に気持ちが盛り上がる。

主人公の優子が、何度も家庭の形態が変わる中でもみんなに受容されて愛されて生きていく。

たとえ血がつながっていなくても遠慮がちにも、優子のことを一番にと考えながら周りの人たちは支え合って生きている。

 

久しぶりにこころ震わせられたし心地もよかった。

こんなピュアなハートを持った人たちは、小説の中だけであってはもったいないよ。

 

372P

「笑顔で歩いてくださいね」

スタッフの合図に、目の前の大きな扉が一気に開かれた。

光が差し込む道の向こうに、早瀬君が立つのが見える。本当に幸せなのは、誰かと共に喜びを紡いでいる時じゃない。自分の知らない大きな未来へとバトンを渡す時だ。あの日決めた覚悟が、ここへ連れてきてくれた。

「さあ、行こう」

一歩足を踏み出すと、そこはもう光が満ちあふれていた。

 

 

1974年、大阪府生れ。大谷女子大学国文学科卒。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、2009年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を受賞。