甘く冷たい戦慄が本能を歓喜させる。
小池真理子らしい男と女にまつわるお話。
しっとりとひんやりした幻想的で怪奇的な短編集。
どの物語にも共通するものが、こちら側とあちら側を繋ぐ異形のものたち。
この世のものではない彼らは、こちら側と隣り合わせでそこにいる。
こちら側に何かを訴えかけている。
怖くて背中がぞっとするだけではない。
それが愛おしい人だったら、どこか懐かしく妖艶なるものになるのか。
「森の奥の家」は、このなかでも特に哀しくて切ない結末だった。
<目次>
面 5
森の奥の家 39
日影歯科医院 77
ゾフィーの手袋 121
山荘奇譚 163
緋色の窓 207
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、13年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞を受賞
