こころに響いた。
まず惹かれた。
小説は始まりが大切。
あとに読み進めていくべきと、まるで誰かに後ろから背中を押されるかどうかが重要だ。
こういう心境でいままで生きてきたことはわかるような気がする。
6P
「取り立てて不満のない人生である。不満がないからと言って充実しているわけではない。空気の抜けた風船が、風任せに右に揺れたり左に揺れたりしているような、何とも頼りのない日々を送っている。」
あの日あの時あの場所で!
それぞれの老年期の恋愛が縷々綴られている。
じわじわっと涙腺が緩んでくる。
恋愛には、年齢は関係がない。
胸がだんだんと熱くなってくる珠玉の大人向けの短編集。
青春時代など若き頃に出逢わなくても、周りの人の死別や離婚などのあるきっかけを通じ人生経験を経て、いつかその人に知り合うことになるのだろう。
自分の体験から考えてみると、出逢える人には出逢えるべきして必ず会っているもの。
また逆にご縁のない人は、出会っても遅かれ早かれ、いつかは自分から離れていくものであり、追い求めてはいけないものだ。
運命というべきものなのか!
あの日、あの時にあの場所に行かなければ、決して出逢えていなかった。
出逢ったときのエピソードを踏まえて振り返ってみると、
それは偶然ではなく、必然のことのように思えて仕方がないのだ。
<目次>
わかって下さい 5
白いシャクナゲ 51
恋ものがたり 87
観覧車 125
エアギターを抱いた男 171
土産話 215
1950年、福井生れ。早稲田大学中退。エール・フランス勤務ののち帰国し、『野望のラビリンス』で作家デビュー。1995年『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞特別賞を、1999年『求愛』で島清恋愛文学賞を、2001年『愛の領分』で直木賞を、そして2017年『大雪物語』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に「女系の教科書」など。
