時がたって物や形、人が変わっても同じような出来事が繰り返されるものなのでしょう。
歴史を知ることや学ぶこと、振り返ることが事前の準備や心構えに大切だということがわかる一説があります。
愛知県の金五郎さんという人の日記には、宝永地震の様子が書かれていました。
東日本大震災と熊本地震の因果関係を考えるものとして、後世に向けて伝えてくれているこの史実を磯田さんが教えてくれました。
「ちょっと前に東国で地震があったならば、その次は西国で大地震になるということは、考えてみれば古い本にある。格々油断さるるな」
磯田さんの姿勢からは、時代小説より、歴史小説よりも「史伝文学」が勧められます。
「こうだったらいいな」とか「こうなっていたら面白い」「一般的に伝わってきたものだから正しい」という考えではない。
創造というか創作はやむを得ず行うべきものです。
例えば、歴史に名を残した人物の傍にいた権力者側の視点だけでなく、組織の部外者や主流外の人が書いたような客観的な別の目線で書かれた日記などに注目をしその記述を取りあげてくれている。
実際に自分の目で確かめるため現地に足を運ばれています。
疑問をつぶしてきて、こういう結果しかならないと導き出されるような内容は信じるのに値するのではないかと。
発見された資料や史実を調べて叙述していく基本的な考えに賛同しています。
本でもテレビの発言の中にでもぶれない彼の考えが伝わってきます。
彼なりの歴史観を持って史実に接しているところに好感を持って、これからも磯田道史さんを応援していきたい。
<目次>
江戸の武士生活から考える
甲賀忍者の真実
江戸の治安文化
長州という熱源
幕末薩摩の「郷中教育」に学ぶ
歴史に学ぶ地震と津波
司馬文学を解剖する(歴史小説、時代小説、史伝文学)
1970年生まれ。慶應大学大学院卒。歴史家、文筆家、静岡文化芸術大学准教授。日本社会経済史専攻。「武士の家計簿」で新潮ドキュメント賞を受賞。ほかの著書に「殿様の通信簿」など。
